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フランスの産地をめぐる 前編
誰もが認めるワインの銘醸国、フランス。素晴らしいワインが多く造られていますが、産地によって、それぞれ造られているタイプが違うのも、とても魅惑的です。今回は、フランスの各産地の特徴を見ていきたいと思います。
by Wine-Link
最終更新日:2022-03-21
目次
12に分けられるフランスの産地
みかんやリンゴと同じように、ブドウにも栽培に適した気候の区域があるわけですが、ブドウに向かず主にリンゴが栽培されている北部、山がちな中央山塊以外は、フランスはほぼ全域でブドウ栽培、そしてワインの醸造が行われています。そのワインの造られる産地は、大きく分けて12か所あります。(※多少、産地のカウント数に前後あり)
写真:【パリの北西の地方はリンゴ栽培がさかん】
強引ですが、フランスの国土を時計に見立てるとするならば、0時の位置にあるパリをスタートに、時計回りに、
シャンパーニュ
アルザス
ブルゴーニュ
ジュラ
サヴォワ
コート・デュ・ローヌ
プロヴァンス
コルス(コルシカ)
ラングドック・ルーション
シュッド・ウエスト
ボルドー
ロワール
という感じで産地が位置しています。
写真:【各地で使われるブドウ品種も異なります】
そしてそれらの地域で、それぞれの個性を持ったワインが造られています。もともと、その地に適した、もしくは求められたタイプのワインが造られ、20世紀に入り、「せっかくだからこの地の名前を名乗れるのは、昔からのその地のスタイルを表現できたワインだけにしよう」と法整備を行った為、それぞれの産地のスタイル、味わいの個性が守られています。
Champagne シャンパーニュ ~1時~
写真:【北部に位置し、冷涼な気候のシャンパーニュ】
まずは知名度の高いシャンパーニュ地方。パリから電車で1時間ほど東に行った所にあるシャンパーニュ地方では、一部を除きスパークリングワイン(=発泡性ワイン)が造られています。
写真:【瓶内二次醗酵という伝統製法で造られる】
そうです、ここで規定を守って造られたスパークリングワインが『シャンパーニュ』(※シャンパンとも呼ばれる)と名乗れるのですね。ロゼと白しか認められていないので、赤のスパークリングを造ったら『シャンパーニュ』とは名乗れません。
Alsace アルザス ~2時~
フランスの北東部、シャンパーニュより更に東にあるワイン産地です。すぐ西側のヴォージュ山脈で雨が降ってしまう為、この地は雨が少なく乾燥しています。乾燥しているという事は、ブドウが凝縮され、ボディのしっかりしたワインが多くなります。
写真: 【アルザスのすぐ東隣はドイツ】
ライン川を挟んだすぐ東隣はドイツであり、しばしドイツの支配下にあった為、ワインもドイツの影響を受けています。ちなみに、「最後の授業」という小説はこのアルザス地方のある村を舞台に書かれた作品です。
「ボディがしっかりしたワイン」が造られる、と言いましたが、赤は少なく、主に白ワインが造られています。
辛口タイプから甘口タイプまであり、フルート型と呼ばれる細長い瓶に詰められている事が多いのが特徴です。これもドイツの影響ですね。
ブドウは、リースリング、ピノ・ブラン、シルヴァネール、ピノ・グリ、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・ノワールなどが使われています。
写真:【アルザスの村の美しい街並み】
Bourgogne ブルゴーニュ ~3時~
写真:【シャブリの地区だけ北に離れて位置している】
フランス東部に位置する、フランスを代表するワインの銘醸地。大陸性気候のもと、主に、ピノ・ノワール、ガメイとシャルドネを使ってワインが造られています。この地で造られる有名なワインには、シャブリ、ロマネ・コンティ、ジュヴレ・シャンベルタン、ボージョレ・ヌーヴォなどがあります。
写真:【丘陵中腹辺りに多くの特級畑が位置している】
この地方では、基本、ブドウは品種をブレンドせず、ピノ・ノワール、ガメイ、シャルドネなどの単一の品種で造られる事が多いのが特徴的です。
また、畑ごとに、特級、一級、等と格付けされている区域が多く、名前に、『グラン・クリュ(=特級)』『プルミエ・クリュ(=1級)』などと付けられていたりします。
Jura ジュラ ~3時~
写真:【ジュラ紀の由来となったジュラ地方の地質】
時計の針の3時の辺り、フランスの東部に位置し、ジュラ山脈の西に位置するワイン産地です。すぐ東隣はスイスです。
フランスで最小の産地ですが、ヴァン・ジョーヌ、ヴァン・ド・パイユなど、個性的なワインが造られることで有名です。白ワインの生産が全体の7割前後を占めています。
写真:【白ワインの生産が全体の7割を占める】
気候は半大陸性気候で、年間降雨量は約1,150mmと、フランスでは雨量の多い方ですが、ビオロジック栽培の生産者が比較的多いのも特徴です。
ちなみに、地質年代の呼称のひとつであり、恐竜も繁栄したジュラ紀は、この地方に分布する地質にちなんで名づけられており、また、ジュラの中心となる町、アルボワは、細菌学の父といわれるルイ・パストゥールの生まれ育った地です。
Savoie サヴォワ ~4時~
写真:【地元消費が多いサヴォワのワイン】
フランスの東部に位置し、アルプスのふもとに広がるワイン産地であり、東側にイタリア、スイスと接しています。
写真:【アルプスのふもに広がる冷涼な産地】
ジャケール、アルテス、モンドゥーズといった地ブドウを中心にワインが造られています。冷涼な気候で、生産量の7割弱が白ワインです。多くが地元で消費される為、日本にもあまり流通しておらず、希少なワインといえますね。
Cotes du Rhone コート・デュ・ローヌ 〜5時~
フランスの南東部、ローヌ川沿いに南北250㎞ほどに渡って広がるワイン産地。生産の8割ほどが赤ワインで、生産量はボルドーに次いで2位。産地を代表するワインとしては、コート・ロティ、コンドリュー、シャトーヌフ・デュ・パプなどが挙げられます。
写真:【南部と北部でスタイルが大きく異なる】
産地は、北部と南部に分けられていて、北部は斜面に位置し、比較的高額なワインが多く、南部は平地が多く、比較的カジュアルなワインが造られます。
白ワインはヴィオニエ、マルサンヌ、ルーサンヌ、赤ワインはシラー、グルナッシュ、ムールヴェードルなどをブレンドして造られる事が多い産地です。
写真:【急な斜面に広がるコンドリューの畑(北部)】
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