フランスの産地をめぐる 後編

誰もが認めるワインの銘醸国、フランス。産地によって、それぞれタイプの違う、素晴らしいワインが造られています。今回は、フランスの産地をめぐっていく後編です。

by Wine-Link

最終更新日:2022-03-28

時計回りで見ていきます

後編も、強引にもフランスの地図を時計盤に見立てて、フランスの真ん中を中心に時計の針が0時のパリを指すのを始まりとして、時計回りにワインの産地を見ていきたいと思います。

前回を復習すると、0時の方角にあるパリをスタートして、

 1時の方角 シャンパーニュ
 2時の方角 アルザス
 3時の方角 ブルゴーニュ
       ジュラ
 4時の方角 サヴォワ
 5時の方角 コート・デュ・ローヌ

というように産地が位置している、という事でした。



Corse コルス 〜5時〜

南フランスのプロヴァンス地方の南の地中海に浮かぶ、フランス領の島、コルス(=コルシカ島)。ナポレオンの生誕地として有名ですね。島の大きさは、広島県の面積ぐらいです。イタリアの都市国家に支配されていた時期がある為、イタリアの影響も残っています。

地中海性気候で、温暖で乾燥しています。島のほとんどが山岳地帯の為、沿岸の地域にワインの産地が広がっています。主に使われるブドウは、ヴェルメンティーノやシャカレッロなど産地特有のブドウです。

写真:島のほとんどが山岳地帯

フランス語では『コルス(Corse)』なのですが、イタリア語では『コルシカ(Corsica)』、現地の言葉では『コルシガ(Corsica)』と呼ばれているそうです。





Provence プロヴァンス  〜5時〜
Provence プロヴァンス  〜5時〜

フランスの南東部に位置し、温暖で地中海に面した、リゾート地としても名高いワイン産地。上質な辛口のロゼワインが多く造られている事で有名です。

サンソーやロールなど、地のブドウを中心に造られたロゼワイン、白ワインが中心なのですが、観光地で消費される比率も高く、さほど輸出されていません。

写真:プロヴァンスの薄い色合いのロゼ

ちなみに、歴史的にこの地方のロゼワインは、黒ブドウを、控えめに圧搾する製法で造る為、他の地方のロゼワインより色合いの薄いタイプでした。近年、このスタイルのロゼワインが、『プロヴァンス・スタイル』として世界的に人気が高まっています。

余談ですが、本来は濃い色合いのロゼを造っていた地方も、このプロヴァンスの人気をうけ、プロヴァンス的な色の薄いロゼに製法を変える生産者が出てきていたりします。




Languedoc-Roussillon ラングドック・ルーション  〜6時〜

フランスの南の中央、スペインに近い辺りに位置するワイン産地。比較的カジュアルで、お値打ちなワインの宝庫です。

大部分は地中海性気候で、乾燥し、日照にも恵まれた産地の為、質より量のワインの時代もありましたが、近年は、その気候を生かし、有機栽培を始める生産者や、質を追及する生産者も増えています。ブドウは、グルナッシュやムールヴェードルなど地のブドウを多種ブレンドする事が多いです。

写真:比較的平坦な『ラングドック地方』

元々は『ラングドック地方』と『ルーション地方』に分かれていました。『ラングドック地方』は地理的に近い為、南ローヌに性質が似ています。それに対し、『ルーション地方』は17世紀後半までカタルーニャ君主国の領地であった為、スペインのカタルーニャ地方に性質が似ています。

写真:起伏に富む『ルーション地方』

Sud-Ouest シュッド・ウエスト  〜7時〜

フランス語で『シュッド(=南)ウエスト(=西)』という意味の通り、フランス南西部に位置しています。

その中で大きく分けると、ボルドーに近い平地の地区で、主にボルドー品種を使い造られるワインと、ピレネーの麓(ふもと)で、固有品種を使って造られるワインがあります。

写真:ピレネーに近い地方は斜面が急な所が多い

カオールやマディランといった骨格のしっかりした赤ワインや、ジュランソン、モンバジャックなどの甘口のワインが有名です。20世紀前半頃までは、質より量のワインが造られる時代がありましたが、近年は土地の個性を大事にした質を求めたワインが増えています。




Bordeaux ボルドー 〜8時〜
Bordeaux ボルドー 〜8時〜

フランスだけでなく世界的に有名な銘醸地で、『ワインの女王』と評される事もあります。

フランスの南西部に位置し、比較的温暖な産地であり、ボディのしっかりした赤ワインが多く産出されています。観光地としても名高い、美しい町です。

写真:個性のある美しいシャトー達が点在する(写真はシャトー・マルゴー)

ボルドー地方のトップレベルのワインは、世界でもトップに挙げられる品質であり、投機目的に売買されています。

造られている比率では赤が多いのですが、辛口の白、ソーテルヌの甘口も高い評価を得ています。ワインは基本、数種類のブドウ品種をブレンドして造られるのが、この地の特徴です。



Loire ロワール 〜10時〜

パリの南西、ロワール川流域に広がるワイン産地。川沿いに100㎞にも及ぶ長さの産地では、多種多様なワインが生み出されています。川の流域には多くの古城が現存している事からも『フランスの庭』と称される風光明媚な地域です。

産地は西から、『ペイ・ナンテ地区』、『アンジュ・ソミュール地区』、『トゥーレーヌ地区、『サントル・ニヴェルネ地区』の4つに分けられています。比較的冷涼な気候の為、白が生産量の半分ほどを占めるのですが、次いで多いのは赤では無く、ロゼというのも、この地方の特徴です。

写真:美しい川沿いにワインの産地が広がる

多種なワインが造られますが、その中でも代表的なものには、ミュスカデ、ロゼ・ダンジュー、シノン、ヴーヴレ、プイィ・フュメ、サンセールなどが挙げられます。


これでフランスのワイン産地は1周です

さて、これで12のフランスの産地を巡ってきましたが、どの産地に興味を持たれましたか?私は、毎度の事ながら、『あまり輸出されていない』産地のワインには興味津々です。

ちなみに、時計の1時の方角に位置するのは、何という産地でしたでしょうか?忘れてしまった、という方は、是非、前編にお戻りください(笑)

投稿者

  • やまくみ

    ・ソムリエエクセレンス(JSA認定)
    ・SAKE DIPLOMA(JSA認定)
    ・DIPLOMA LEVEL3(WSET認定)

    ワインの輸入商社にて、バイヤーを経験。
    退社後の現在は、ワインのなんでも屋を
    ちみちみとやっている

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公開日 :
2022/03/28
更新日 :
2022/03/28
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