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フランス コート・デュ・ローヌ
ドメーヌ・フォン・デュ・ヴァン
「パーカーズ・ワイン・バイヤーズ・ガイド」で
パプの傑出した生産者として5つ星を与えられた生産者
有機栽培によるブドウから素晴らしいワインを生み出しています
- SCEA Etienne Gonnet, 14 Impasse des Vignerons 84370 Bedarrides, France
ゴネ家三世代の努力で、パプ最高のワイナリーの1つに
写真:先代のジャン&ミッシェル・ゴネ兄弟
地域の記録によれば、ゴネ家は1600年頃からベダリッドに居を構えていたという文献が残っています。現在のワイナリー、ドメーヌ・フォン・ド・ミッシェルの本社となっている建物は、1880年にジャン・エティエンヌ・ゴネ氏が建てた農家がもとになっており、ジャン・エティエンヌの孫にあたるエティエンヌが、シャトーヌフ・デュ・パプAOCの南東に位置する素晴らしい場所に30ヘクタールのブドウ畑を購入し、1950年にワイナリーを立ち上げました。エティエンヌは1952年から1964年までベダリッドの市長を務めあげ、忍耐と厳格さを兼ね備えた人物として尊敬されていました。
1975年からは、師匠でもあり叔父でもあるヴィユー=テレグラフのアンリ・ブリュニエの影響を受けた二人の息子、ジャンとミッシェルがワイナリーを引継ぎ、洗練と凝縮を兼ね備えたフルボディのテロワールワインを造るため、30年以上もの歳月を費やしてきました。2002年にはコート・デュ・ローヌとガール県のドマザン村にあるコート・デュ・ローヌ シニャルグに20ヘクタールのブドウ畑を購入し、ここから「ラ・フォン・デュ・ヴァン」の名でワインをリリースしています。
2006年からは、3代目に当たる息子のベルトランとギヨームが、若い熱意と技術を持ってワイナリーを引き継ぎ、2009年、3代目のベルトランとギヨームは「ゴネ・ペール・エ・フィス」という会社を立ち上げました。ここでは「フォン・ド・ミッシェル(シャトーヌフ・デュ・パプ)」と「フォン・デュ・ヴァン(コート・デュ・ローヌ)」の輸出管理とともに、会社名と同じ「ゴネ」ブランドで、厳選した買いブドウによるローヌワインも販売しています。
三世代に渡るゴネ家の不断の努力は素晴らしい形で実り、ワイナリーとしての評価はシャトーヌフ・デュ・パプの中でも最高の1つとされています。パーカー著「ローヌ・ワイン」の中で、彼らのトップ・キュヴェ「エティエンヌ・ゴネ」は最高評価の5ツ星を与えられています。
ブドウそのものと環境を尊重してできる、エレガントなワインを目指して
ドメーヌ・フォン・ド・ミッシェルの哲学は、ブドウの樹本来の強さを助け、環境を尊重したブドウ栽培を行うこと。土壌を尊重するということを最優先としています。
ワイナリーでは20年以上ものあいだ化学肥料は一切使用しておらず、代わりに有機堆肥を使用して土壌のバランスを整えるようにしています。ベド病の予防にはボルドー液を使い、鋤を使って土壌を耕すなどして、丁寧にブドウの樹の世話をしています。また、コンフュージョン・セクシュエル(交信攪乱)の技術を使うことで、殺虫剤を使用せずともブドウの実に危害を加える虫から守ることができます。余分な芽を取り除き、不要な葉を取り除く作業も毎年欠かさず行っています。私たちのゴールは、最適なフェノールの成熟度値と最大限の糖度レベルを保った、自然体で健康なブドウの実を育て、バランスの素晴らしい偉大なワインを造ることです。
個性豊かなテロワールとミクロクリマ
写真:何層にも重なった複雑な土壌!
フォン・ド・ミッシェルの畑は、シャトーヌフ・デュ・パプの東エリアに位置しています。その土壌は非常に複雑。地表にはごろごろと大きな石が転がり、その下に砂地、粘土質土壌、そして石灰土壌。さらに地中には「ビーチサンド」と言われる非常に細かな砂の層となっています。
■ドメーヌ・フォン・ド・ミッシェル(シャトーヌフ・デュ・パプ)
シャトーヌフ・デュ・パプのワインは、ドメーヌ・フォン・ド・ミッシェルの名でリリースされています。
ドメーヌが持つ最高の畑は、南東向きの斜面の一番上に位置しており、なんと樹齢100年から120年という超古木が並んでいます。その畑から下ったところにあるメインの畑でも、樹齢60年から90年と言うから驚きです。この畑の地中深くには地下水が流れており、その名も「フォンテーヌ・ド・ミッシェル」、ワイナリーの名前の由来となった水脈です。
パプの畑の大半は石灰泥土壌と丸い小石(アルプス山脈の洪積層からのもの)に覆われており、この小石は日中太陽熱を蓄え、夜になるとブドウを温める役割を果たします。また、この地域は大変乾燥しており、ブドウの根は必要な養分を探すため地中深くまで根を張るようになります。気候はとても大切な要素で、降雨量が少ない事、そしてミストラルが吹きブドウを健康な状態に保つことで、凝縮した実を収穫することができます。また、日照量も豊富に得ることができる地域です(夏の間は平均1000時間の日照量で、25℃の気温が7時間続きます)。
シャトーヌフ・デュ・パプを象徴する、「フォン・ド・ミッシェル」ブランドのワインはフォン・ド・ミッシェル、ラ・クロ、 ラ・ピエール・プランテ、シャルトリューズ、 クロワ・ド・ボアなど多くの区画のブドウから造られています。記録によれば、フォン・ド・ミッシェルの区画では、ナポレオン1世の時代(1804-1815)よりも以前からブドウが植えられていたとされ、ローマ時代の陶器の破片や容器がこの区画から数多く見つかっています。
■ラ・フォン・デュ・ヴァン(コート・デュ・ローヌとヴィラージュ)
2002年に購入した、コート・デュ・ローヌとシニャルグの20haの畑からは、ラ・フォン・デュ・ヴァンの名でコート・デュ・ローヌとヴィラージュのワインをリリースしています。シニャルグ(ドマザン、サズ、エステザルグ、ロシュフォール・デュ・ガール村を再編成した地域)は、数年前にコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュAOCに組み込まれた、新しいヴィラージュです。
畑はドミティア街道(ローマ時代スペインとローマをつないでいた道)の近く、ガール県のドマザン村に位置し、土地の一部はシャトーヌフ・デュ・パプの土壌に類似しているところもあり、石灰泥土壌と丸い小石、そして赤粘土土壌と砂質ローム土壌などが見られます。高台のテラス式畑に植えられたブドウの樹はトスカーナの風景を思い起こさせてくれます。プロメスの畑は丘の中腹に、ノートル・パッションの畑は丘の上部に位置しています。
シャトーヌフ・デュ・パプの畑は太陽の昇る東に位置し、日照時間が長いのに対し、フォン・デュ・ヴァンの畑は西に位置しています。その結果、シャトーヌフ・デュ・パプは果実味豊かで凝縮感のある典型的な南仏ワインとなり、対してフォン・デュ・ヴァンはシラーのいきいきとした爽やかさやスパイス感がワインに複雑味を与える華やかなワインとなります。
プロメスには40%、ノートル・パッションには50%のシラーが含まれており、グルナッシュを主体とする南ローヌ地域では珍しいワインです。特にノートル・パッションは、スパイシーでリッチ、フレッシュで親しみやすい味わいからアメリカなどで高い人気を誇り、『ミニ・パプ』などと呼ばれ、バイ・ザ・グラスで広く愛されています。
グルナッシュをフォン・ド・ミッシェルの王とするならば、シラーはフォン・デュ・ヴァンの女王と言うことができるでしょう。
収穫は全て手摘みで
収穫は私たちの仕事の中で最も大切な時期であり、シーズンのクライマックスでもあるため、始まるずっと前から様々な準備を行います。
8月最終週になると、ワイナリーではタンク、除梗機、圧搾機など全ての設備を洗浄消毒します。そしてトラクターも用意されます。ブドウの収穫者は地域で雇われる学生や外国からの旅行者、季節労働者など。
収穫日は実際にブドウの実を試食するとともに、糖度、タンニンの成熟度合(最終的にアルコール度数の決め手となる)とフェノール値(ワインの色合いを決める指針となる)を分析して決定されます。
シャトーヌフ・デュ・パプであれコート・デュ・ローヌであれ、収穫は全て手作業で行われ、ブドウの実は樹になっている状態で入念に選果されます。ブドウが少しでも良い状態で仕込めるよう、収穫からわずか25分でセラーに入り、スピード重視で行います。選果は振動台を使い、6人がかりで行います。また、傷ついたブドウは酸化の原因となりワインの品質を低下させる為、実が傷つかないよう、小さな容器に入れられてワイナリーまで運ばれます。
ワインへの情熱と品質向上への飽くなき挑戦
写真:ひんやりと薄暗い地下セラーで、ワインは静かに熟成されます
2006年にワイナリーを引き継いだ3代目のギヨームとベルトランの目指すワインのスタイルは、彼らの親である2代目のジャンとミッシェルと同じものでした。過度な抽出はせず、オークのニュアンスも強すぎない、飲みやすくよく熟成されたワインが彼らの目指すスタイルです。ワイナリー業を引継いでからは、ワインの品質を更に良いものにすべく、様々な試みを続けています。
■赤ワイン
ブドウは完全に除梗します。醗酵は、シャトーヌフ・デュ・パプで20~28日間、コート・デュ・ローヌでは8~15日間。醸造は温度管理されたタンクで行い(30℃という最適な温度で醗酵が進む)、アロマ、色合い、そしてタンニンを最大限に抽出します。
マセラシオン(醸し)と醗酵の間、それぞれのブドウ品種に適した工程(ルモンタージュやデレスタージュなど)を経て、1月頃、ワインがフードルに移され熟成が始まります。ボトリングは収穫から約18か月後にワイナリーで行われます。
■白ワイン
収穫後すぐに圧搾し、18℃に温度管理されたタンクで新樽に移されるまで醗酵が続きます。白ワインは収穫から約10ヶ月後にボトリングされます。
品種、テロワールの個性を生かした造り
写真:それぞれのワインに合わせて多種多様な造りを行う
各ワインの醸造・熟成についてご説明します。
1.フォン・ド・ミッシェル(シャトーヌフ・デュ・パプ)
「過度に樽の風味がつきすぎていない、テロワールを活かしたエレガントな造り」を目指したワイン造りを行います。20日から28日間にも及ぶ長いマセラシオンにより、タンニンは柔らかく、エレガントで良質な味わいとなります。デレスタージュ(醗酵途中にタンク内の果汁を別の容器に移し替えて一定時間静置し、果皮や種を空気に触れさせた後に勢い良く果汁をタンクに戻す工程。果皮からの色素、タンニンの抽出を促進させ、柔らかく果実味に富んだワインになる)やポンピングオーバーも行います。
熟成期間は12か月から18か月間。3分の1をトロンコニックと呼ばれる大樽で、3分の1をセメントタンクで、残りの3分の1を600リットルのデュミミュイと呼ばれるオーク樽で寝かせます。
2.ラ・フォン・デュ・ヴァン
レ・プロメス(コート・デュ・ローヌ)はワインの果実味を残すため、品種によって仕込み方を変えています。シラーはフレンチオーク樽にて12か月間熟成、グルナッシュはステンレス・タンクにて8か月熟成をさせます。
ノートル・パッション(コート・デュ・ロ-ヌ・ヴィラージュ)も同様で、シラーは250リットルのフレンチオーク樽で12か月間、グルナッシュにはステンレス・タンクを用います。
シャトーヌフ・デュ・パプの歴史
1304年、イタリアとの戦争に距離を置くため、クレメンス5世はフランスのアヴィニョンに居住を構えます。後継者のジョン22世はシャトーヌフにある古い主教の住居を修復、拡大するとともに、1318年に初めてブドウの樹を植えるよう指示します。始めは機密にされていたワイン生産も次第にその優位性を得て、シャトーヌフ・デュ・パプのワインは13世紀に入ってやっと名声を得るまでになりました。
13のブドウ品種の栽培、収量、生産量の制限などを含む、正式なAOCの認定はその後1929年まで待たなければなりませんでした。AOCシャトーヌフ・デュ・パプの地理的な境界は、現在の沖積層をすべて除いた地域に決められています。この境界はシャトーヌフ・デュ・パプ地域を超え、更にベダリッド、クルテゾン、オランジュ、ソルグ市にまで及んでいます。
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