奇想天外なドイツワイン「テッシュ」

新しい取り組みでファンを増やしているドイツのワイナリー「テッシュ」 。その型破りな魅力とは・・・

by 株式会社モトックス

最終更新日:2016-03-09

ドイツワインって難しいな・・・と思いませんか?

ドイツワインって難しいな・・・と思いませんか?

写真:単純明快な「色分け」ラベル!

ドイツワイン・・・飲むと好きだけど、名前や産地、甘さのクラス・・・色々と難しい名前が出てきて、敬遠してしまいがちではありませんか?

確かに日本人には読みにくいドイツ語、さらには理解するのに必要な基礎的な知識。
資格試験の際に、飛ばしてしまう人もしばしば・・・

でも、今回ご案内する「ヴァイングート・テッシュ」はそんなドイツワインの仕組みに嫌気がさして全く新しい取り組みでファンを増やしているワイナリーです。

型破りな取り組み①「色で分けちゃう」

型破りな取り組み①「色で分けちゃう」

写真:どの畑から造られたワインか色で分かります

地域名・・・畑名・・・独占所有の単一畑・・・それぞれラベルに名前が書かれていても、結局理解できていないことも・・・

でもテッシュは簡単!まず栽培品種は90%がリースリング。
そして、例えば、黄色いキャップのワインは図の黄色い畑から。赤いキャップのワインは赤い色の畑から・・・と
とっても分かりやすい!!

しかも、この色分けされた畑、実はすべてがグランクリュ!
それぞれ小さな区画から個性豊かなリースリングを作り、色分けしてリリースしています。

型破りな取り組み②「辛口リースリングに特化」

型破りな取り組み②「辛口リースリングに特化」

写真:オーナー兼醸造家 マルティン・テッシュ氏

リースリングというと、飲みやすく、甘さの幅が広い・・・そこがこの品種の良い面で、ワインを飲みなれていない人にも親しみやすい甘いワインが造られます。

しかしテッシュ氏は「食事に甘いワインは合わない!辛口リースリングしか作らへん!」と甘口ワインをバッサリ切り捨て。
父親からワイナリーを受け継いだときに、30haあった畑のうち、リースリングとピノ・ノワール種のみを残して、他は全てチェーンソーでこれもバッサリ切り捨て(!?)ワインの種類も40種類から11種類まで激減させました。

それまでドイツのワイナリーの多くは、「どんな嗜好のお客様が来ても合うワインがあるようにする」為に、甘口から辛口、更には得意の交配品種も使ったバラエティー溢れる品揃えするのが普通でしたが、テッシュ氏は単一畑の良さを活かした、辛口のテロワールワインに特化しました。

そのため、周りのワイナリーからは「あいつ何やってるんだ・・・」「気でも狂ったか?」と冷ややかな目線・・・ということもあったそうです。

型破りな取り組み③「VDPを脱退」!?

型破りな取り組み③「VDPを脱退」!?

写真:自由な発想ができるからこそ「天才」と呼ばれる

VDPとは、ドイツのエリート生産者200あまりからなる、100年以上の歴史のある「ドイツ高級ワイン生産者連盟」。
ドイツワインのラベルやボトルの首の部分に、黒鷲とブドウのマークが入っているのを見た事があるかと思います。
このマークがついていれば、VDP加入の生産者という事です。

テッシュ氏のワイナリーはテロワールを表現したワイン造りなどの活動が認められ、1993年にVDPに加盟しました。

しかし、天才肌であるテッシュ氏の考える「ワインと料理との相性」「プロモーションによる魅せ方」「異業種とのコラボレーション」などは、既にVDPの団体としての考え方の枠に収まらず、より自由にワインを魅せるために2014年にまさかの脱退!!

よって、先ほどの色分けされた畑、実は全てグランクリュですが
VDPを脱退しているため「グローセス・ゲヴェックス」(ドイツの辛口ワインのグランクリュの名称)を名乗ることができません。

でも彼はそんなこと全く関係なし!!!

ドイツで数あるワイン生産者の憧れの的「VDP」を「脱退する」なんて・・・まさしくクレイジー!

型破りな取り組み④「微生物学からみるスクリューキャップ」

型破りな取り組み④「微生物学からみるスクリューキャップ」

写真:ヨーロッパ初のスティルヴァン

地質学や微生物学を修めたテッシュ氏がこだわりぬいたのが、写真のキャップ。
「スティルヴァン」というスクリューキャップの一種です。
じつはこれをヨーロッパで最初に採用したのが彼。

なぜこの栓を採用したのか?という著名評論家ジャンシス・ロビンソン氏の質問に対してテッシュ氏は
「この栓の微生物学的、物理的なクオリティが目を見張るほど素晴らしかったのです。
まず、ボトル自体よりも高い圧力に耐えられます。そして科学的に密着され、密閉性はほぼ完璧。
さらには見た目と感触の良さ、リサイクル率95%という高さから選びました」と回答。

現在コルクで栓されているワインの内、2~5%のワインはコルク・ダメージと言われる品質低下の被害を受けています。

しかし、このスティルヴァンで打栓した150万本について、10年の間で受けた問い合わせは「たったの4本!」しかも、その内容は「スクリューキャップでも密閉されるんですか?」という問い合わせのみ!

スクリューキャップのワイン熟成について

スクリューキャップのワイン熟成について

写真:テッシュ氏はスティルヴァンのファンなのです

「コルク栓はワインに微量な酸素供給を可能にする」と考える生産者に対し、テッシュ氏は「完全な密閉こそがワインをゆっくりと熟成させる」と考えます。

実際、彼はスティルヴァンで打栓した各畑のワインを10年間熟成し、ジャンシス・ロビンソンに送りました。

それを全て飲んだ彼女は
「それぞれが顕著なヴィンテージの特徴を見せており、いずれも熟成のポテンシャルがあるワイン」と絶賛。

さらには
「オフヴィンテージこそ、スティルヴァンキャップには好都合。」とコメント。
オフヴィンテージで発生するグリーンのアロマは、瓶内のわずかな酸素によって、ゆっくりと良い方に変化すると実感されたそうです。

実際にテッシュ氏も「スクリューキャップでもすぐに抜栓せず、一般的に考えられているよりも長く待つように」と勧めます。

早く飲んでOKというイメージがあるスクリューキャップですが、テッシュ氏のこんな取組により、これから長い年月をかけて、よりその可能性を証明してくれることでしょう。

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公開日 :
2016/03/03
更新日 :
2016/03/09
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