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世界のワイナリーから 2018/03/23 by 株式会社モトックス 再訪を誓ったパリの2つ星『ル・クラランス』
2018年度ミシュラン★★。パリの高級ホテル内にあるレストラン『Le Clarence』のレポートです。

スイスのミドリーナです。私の住んでいる町は先日「シベリアのクマ」と呼ばれる大寒波で-12℃まで気温が下がり、突風が吹いていたため体感温度は-20℃以下という寒さ・・・。しかも積もった大雪で家の前の坂道はアイスバーン状態。街中をスノーボードで坂を滑り降りる若者も(笑)。私は外出できなさそうなので、去年のクリスマスにパリの二つ星レストラン『ル・クラランス』にいったときのことを書くことにしました。
「ホテル・ディヨン Hôtel Dillon」(Hotelといっても、建物の名前であって宿泊ができるホテルではありません)内にある、『Le Clarence』ル・クラランス★★。この店名を聞いてご存知だった方は通か、フレンチのキュイジニエ(料理人)か、よっぽどワインに造詣の深い方だと思います。なぜならル・クラランスは先日ご紹介した「ホテル・ラ・レゼルヴ」の中にある「ル・ガブリエル」同様、ボルドーの格付けシャトーがオーナーだからです。今回はシャトー・オー・ブリオンのロベール・ド・リュクサンブール氏がオーナーで、2015年にオープンしたばかり。シェフはクリストフ・プレ氏。ラセール、ルドワイヤン、ル・ブリストル、ピエール・ガニエール、ロワイヤル・モンソーといった名店の輝かしいキャリアを経てル・クラランスのシェフに就任。腕を存分にふるえるようオーナーから全てが任されています。素晴らしい信頼ですよね。
重たい扉を開けるとレセプショニストに案内されダイニングへ移動。着席してご挨拶の後はシャンパーニュがマグナムでサービスされ、目の前に置かれたリストの厚みに驚く!一体何センチあるの???ペラっとめくると、なんとなんと・・・ラ・ミッション、ラヴィルに始まり・・・シャトー・オー・ブリオンでさえグラスでオーダーできる・・・。これ、ワインラヴァーが見たら狂喜するでしょう(笑)。
ボトルは全部オーナー所有のシャトーやワイナリーで・・・これしか無かったら、と不安に。オー・ブリオンなんて1961年ヴィンテージから今までのがズラーっと並び、サルマナザール(9Lボトル)まで揃う !ページをめくるたびに興奮しつつ、「ちょっと待てよ・・・まさかこの中から飲むワインを選ぶってこと??ひえー!」と焦ってましたら、「所有しているドメーヌ以外のワインリストもご覧になりますか?」と言ってくれたのは15分後・・・(はよ、それ言ってよ・・・と一瞬ホットしたのは内緒)。そっちのリストも負けず劣らずの重さで分厚く、結局選ぶのに合計30分かかりました。私が仕事で関わっているジュラ地方の生産者「ラベ」も載っていました!

コトー(あげ巻貝)のグラティネ

ワインを選んでいる最中には、アミューズが次々と運ばれてきます。この手のペルシヤード系の味は貝類との相性抜群ですね。初めてル・クラランスを訪れた2年前にもアサリで味わった記憶がある。ニンニク、バター、パセリ、それにレモン?のような柑橘系の皮が入ってるのかな。もっと食べたい気がしますが、まだ一皿目のアミューズ。

ブリオッシュが絶品!

写真のブリオッシュは絶品!手で摘もうとすると、ジュっとバターの脂肪分が滲みそうなくらい豊潤な味わいとテクスチャー。一気に食べると満腹になりコース後半で後悔するので、少しずつ食します。

熟成コンテのグジェール

グジェールはブルゴーニュ地方でお馴染みのシュー。ワインをティスティングするときに出してくれるワイナリーが多いですが、とあるワイナリーのグジェールは「手榴弾サイズ」で、こんなの食べたらランチが食べれないよ~と訴えても「せっかくオーブンから出したばっかなんだから食べなさい!」と、爆弾を1個、2個・・・みたいな思い出があります。そんなグジェールとは全く別物。とにかく食感が軽い!よく熟成したコンテの風味が口に広がるけれど、なんせテクスチャーが心地よい!

エビのフリット

私が神戸の実家に帰ると、いつも母が作ってくれるシラサエビの唐揚げに似ている。母のそれは、ワインのおつまみ用に山椒や唐辛子をかけてカリッと揚げてあるのですが、まさかル・クラランスでそれに似たものに出会うとは!頭からパリパリっといただいてしまいました。そして、ここでシャンパーニュをおかわり(笑)。 → 次ページへ続く
グラーヴのあるシャトーの白を頼もうとすると、新しいソムリエは「うーん」という返事であまりいい顔をしない(私としてはここで控えめな価格のちょっと熟成した白を飲んで、赤は正統派で行こうと思っていたのだが)。で、今回のセレクトは・・・
アルザス地方の生産者トリンバック、そのレアな畑と言われている「クロ・サン・チューヌ」の2008年をチョイスすると、ソムリエは「このワインのこと知ってるの?」と言いたそうな顔してました(笑)。
日本でも一部の高級レストランはそうだけど、ソムリエはゲストにホスト・ティスティングする前に試飲するのね。彼もちゃっかり飲んでました(←横目で見てしまいました。ついでに入れた量も?!)。

2008年のアルザス地方はクラッシックな風格で偉大な年。見つけた瞬間に躊躇わずオーダーしました。まだ10年近くしか経っていないので香りにはまだまだ透明感があり、これから10年、いや20年は軽く熟成できるポテンシャルを持っていると予想。酸味の際立つ柑橘系果実のトップノートに、白い花のような柔らかなアロマ・・・蜜やペトロールの香りは、最初のスワリングではほとんど出てません。輪郭がはっきりしていて、鋭角的な酸味が立ち上がる。最後の余韻もまだ溌剌とした酸味が上がってくるので飲むには早すぎたなぁ・・・。

2種のサン・ジャック(貝柱)

最初のサン・ジャックはタラマ・ソース。タラマというのはタラコです。燻製にしてあり、さらに魚の卵をあしらっていました。
もう一つは、生のサン・ジャックに海苔!その上にボッタルガ(からすみ)がかけられていました。なんだか日本料理風にも見えるけど、これがポン酢とかじゃないだけで一気にフランチの味になります。

鰻の稚魚

日本では不漁が続いている鰻の稚魚(でも鰻の種類が違うのかな?)。それを軽く火入れし、オリーブオイルとニンニクのさっぱりとしたソースにバスク地方のピモン・デスプレット(唐辛子)が少しかかってます。下に敷かれたソース春菊。色合いを見た瞬間にバジルやルッコラ、パセリかと思ったのですが、食べると独特の苦味がきっちり出ています。

ルジェ(ヒメジ)

魚だけの料理かと思いましたが・・・。
赤身の牛肉とフォワグラをミルフィーユ状に重ねて2cm弱のダイス状にしたものがのせられていました。ここでも唐辛子発見!ル・クラランスではメインのお皿とそれに合わせたガルニチュール?付け合わせ?的なのがさらに出てくる傾向があるのかな。アミューズ以降のお料理は、基本2皿ずつ出てくる。

赤ワインをそろそろオーダーしておかないと・・・。「シャトー・オー・ブリオン!」といきたいところですが、ここは場所にちなんだ「ル・クラランス・ド・オー・ブリオン2009年」を選択。
シャトー・オー・ブリオン は桁がひとつ違ってました(笑)。ルビーというよりもむしろガーネットのような濃い色調です。熟したフルーツにモカのような香りが上がってきます。口当たりはブラックベリーのような凝縮感のある果実、そしてタンニンは力強いながらもクリーミーで滑らかです。余韻には上質なカカオのような風味が広がります。ボルドーグラーヴ地区の特徴である、ミネラリーさもあります。

オマール海老とラヴィオリ

オマール海老は軽い火入れ。下のラヴィオリの中にはポティマロン(栗カボチャ、とでも言いましょうか?ヨーロッパではこの時期ならではの食材)。パルミジャーノチーズの熟成ものとエシャロット・チップスが散らしてあります。

ヒラメの活け〆

ここ数年フランスでは活け〆ブーム到来なのか、高級レストランで出される魚は「IKEJIME」って言われて出されるのですよ!!こちらのヒラメは抜群のキュイッソン(火入れ)で、ソースはツナをピエモンテ州(イタリア)のヴィッテロ・トンナート風になってました。上はエシャロットのシズレを甘味に炒めたもの。美味!
それにくっついてたガルニチュール(付け合わせ)が、烏賊と墨のラグー仕立て。ヨード感と塩味で旨さが満載。中に挟まれているのは何かと思ったら、リ・ド・ヴォー(仔牛の胸腺肉)でした。これ、炭火で焼いてるのかな、香ばしい風味がありました。もうちょっとお料理かお皿、熱かったらいいのになぁ。好みの問題だけど。 → 次ページへ続く

シェフからのサプライズ

シェフに何の食材かは言わないようにと釘を刺されたので、ここでは書きません。ほかのお客様にも「それ食べたい」と言われるのが困るから、だそうです(笑)。秋のジビエ。鰻とある小動物の料理です。濃厚なトリュフソースで、秋冬の味わいをしっかり。前回レポートしたレストラン「ル・ガブリエル」では「鰻と仔羊」、今回の「ル・クラランス」では「鰻と小動物」。山の幸と海の幸の大胆な組み合わせ、天才!

鹿のフィレ(に、見えませんね)

私はいつも料理が盛られた状態・分解後の2パターンを撮ることにしているのですが、さっきの小動物があまりに衝撃的でこの料理の分解後を撮り忘れました!鹿肉にベアルネーズ・ソース、ブロシェ(カワカマス)の卵、手長海老・・・!どうですか、この組み合わせ。ここ最近行ったレストランの中でも最も斬新な組み合わせでした。

季節のフロマージュ(ワゴンサービスで)

この時期ならではのモン・ドール、熟成したラングル、ヴァランセ、マンステールなど軽く6種だけ。

デザート数種盛り・・・

【左下】タルト・タタンとマロン・クリームにメレンゲ添え【上】洋梨のソルベ【右下】ライムとクリームチーズっぽい

ババ・オ・ラム

ブリオッシュ生地をラム酒に漬け込んだデセール、小さくてホッとしたけどこれが最初に出て・・・

チョコデザート各種

食べきって安心したのは束の間、その後にショコラばっかのデセール(デザート)がドドーんと出てきてしまいました・・・だいたいフルーツを使ったデセールが出たら、その後はショコラが出てくるのが高級ガストロノミーでの・・・常識ですね。【左下】ショコラのスフレ(とにかく大きい)【上】ヴァニラアイス、に見せかけ下にはショコラのクランブルが・・・もう無理【右下】ショコラのタルト(とにかく濃厚)
ミニャルディーズなのか極薄のパルミエ
それにトリュフ、マカロン風に仕立てたダコワーズ・・・

いかがでしたか?

料理はもちろんのこと、ワインリストが素晴らしい!特にプロから見たらワインリストを眺めていたら失神しそうなワインもありますが、よくご存知の方ならいいものを適正価格で探せます。(それこそ日本のこのクラスのレストランで飲むと、2倍近くになるでしょうね)。なのでワインリストを両方いただいて、それをアテに泡1本で十分1時間は潰せるでしょうね(笑)。

再訪を決意したレストランです。宿泊施設はありませんのでご注意を。