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自然派ワインとは?

『自然派ワイン』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?聞いたことがあっても、漠然としていてよく分からない、という人もいるのではないでしょうか?

世界的にヘルシー志向が強まっているので、この『自然派ワイン』は、受け入れられやすく、すっかりワイン市場におけるポジションを確立しているように思われます。『自然派』という言葉は、食材だと『安心・安全なもの』というイメージですが、『自然派』ワインとは、一体どういったワインなのでしょうか。


まず一つ目の特徴は、『地球環境、人々の生活・健康へ配慮して造られている』という事です。

栽培や醸造の技術が発展し、ワイン造りが近代化していく中で、効率化、生産性の向上を追い求める一方、環境や人々の健康に最大限配慮したワイン造りこそが重要、との考えを持つ造り手たちによって、『自然派ワイン』は造られ始めました。殺虫剤や化学肥料を使用しない、もしくは最小限にする事で、環境や人体に優しいワインを造ろうとしています。

もうひとつの特徴は、『ブドウ本来の魅力、そして各産地のテロワールを表現』しようとしている事。

技術の発展により、華やかな香りが出やすい酵母を使う、酸味が出にくい産地だから補酸をする、など、色んなテクニックが出てきましたが、そうでは無く、極力人の手の介入を少なくし、ブドウが本来持っている魅力、それぞれの産地の個性が出たワインを造ろう、としています。


写真:フランス、ボルドー地方の銘醸シャトー、シャトー・ラトゥールでもくもくと働く馬たち  トラクターに比べ馬は土を踏み固めずに耕す為、畑を微生物たちにとって最適な環境に保てるそうです

『自然派ワイン』といってもアプローチは様々で、大きく分けると3つに分類されます。

①オーガニック/ビオロジック(有機栽培)
②ビオディナミ(生力学農法)
③その他(リュット・レゾネ、サステーナブル など)
 

①オーガニック/ビオロジック(有機栽培)
自然派ワインの中で、一番よく聞くのが『有機栽培』とも言われる、オーガニック(=ビオロジック)だと思います。オーガニックは殺虫剤や除草剤などの化学農薬や化学肥料を使用せず、土の管理は有機肥料とミミズや土中の微生物達に委ねられます。

そして、オーガニックで造っている場合でも、『各国の公的な有機認証機関の認定を受けたブドウで造られたワイン』と、『自身のオーガニックの理念で造っているワイン』があります。公的な有機認証機関としては、EUの『エコセール』、『アグリカルチャー・ビオロジック(AB)』等があります。


写真:様々な認証機関の認証のマーク  左上がエコセール、一番下の真ん中がアグリカルチャー・ビオロジックのマークです

日本国内で正式にオーガニックワインと謳えるのは、公的機関による認証を受けたものに限られています。しかし、公的機関の認証を受けるには長い年数が必要であったり、多数の書類作成、コストがかかる事も多い為、認定はあきらめる生産者も少なくありません。その為、オーガニックは謳えないけれど、『自身のオーガニックの理念で造っているワイン』にも、実質はハイレベルなオーガニック農法のもと造られているワインもあります。

ちなみに、オーガニックに向いている地、そうでない地、というのもあります。標高が高く、日照もたっぷりあり、風通しの良いチリの多くの産地などは、比較的有機栽培に取り組みやすいと聞きます。それに対し、平地で、雨も多く、湿度が高いフランスのボルドーなどはそうたやすい事ではありません。


②ビオディナミ(生力学農法)
有機栽培に加えて、月の満ち欠けなど天体の働きが地球に及ぼす影響を栽培や醸造に応用しようとする農法で、畑での仕事はすべてビオディナミ専用の特別なカレンダーに従い、決められた日に、剪定や肥料の散布などの農作業を行います。


写真:チリのワイナリー、アルパマンタにあったビオディナミカレンダー  南半球なので、カレンダーも南半球版です

プレパラシオンと呼ばれる専用の有機肥料の使用や天然酵母へのこだわりなど、非常に高度で究極的な栽培・醸造を行います。最先端ならではの賛否両論の議論もなされることもありますが、最もこだわりの強い自然派農法といえます。

ビオディナミにもオーガニックと同じく、公的機関による認証を取得しているワインとそうでないワインがありますが、認証は取っていないけれど、同等、時にそれ以上の規律で造られているものもあります。


③その他
他にも、オーガニック、ビオディナミには分類できないけれど、自然に配慮をした様々なワイン造りの理念があります。

まず、『減農薬栽培』と言われる、『リュット・レゾネ』。できる限り化学薬品の使用は避け、必要な場合にのみ少量使用するという農法です。基本、厳密な定義や、公的な認証はありません。あくまで各自の自主規制です。

他には、天敵の虫などをうまく利用して害虫に対抗する、『総合防除農法』とも言われる、『リュット・アンテグレ』という農法。可能な限り自然環境を破壊せず、人間の労働環境に配慮し、次世代においても継続的に健康な環境で栽培が行えるよう目指す『サステーナブル農法』などがあります。

環境、人への影響への関心から自然派ワイン造りに転換した生産者もいれば、「人為的にあれこれ手をかけずにその地の個性を生かしたワインが造りたい、それには化学薬品は妨げになる」、と考え、結果的に自然派ワインの造り手になった生産者もいます。

それぞれの農法に対して、様々な考え方や意見がありますが、どの農法も人々の暮らし、環境に配慮したい、丁寧にワイン造りを行いたい、という点においては共通しているのではないでしょうか。

そして、もちろん、『自然派ワイン』には分類されていないけれども、自然や人々の生活に配慮したワイン、また、ブドウ本来の魅力、テロワールを表現したワインも多く存在しています。