ワイナリーの歴史
写真:自社畑
ビーニャ・マルチグエは1994年、コルチャグア・ヴァレー沿岸部の町マルチグエに設立されました。
創業以来、農業とのつながりを軸に、この土地に根差したワイン造りを進めてきた家族経営の生産者です。現在はコルチャグア・ヴァレーとクリコ・ヴァレーに約2,500haの自社畑を所有し、チリ最大級のファミリーオウンド・ワイナリーとして確かな存在感を築いています。
その醸造能力は年間3,400万リットルに上り、チリ国内の生産者トップ20にランクイン、世界30か国以上の国・地域へ輸出をしている信頼と実績のあるワイナリーです。
PANUL/ パヌール
写真:自社設備
マルチグエの個性を、親しみやすさから上位レンジまで表現するブランド
パヌールは、チリの銘醸地に広大な自社畑を持つビーニャ・マルチグエが手がけるブランドです。
ヴァラエタルやレゼルバの親しみやすいレンジから、マルチグエの産地価値をより明確に映し出す上位レンジまで、価格帯ごとに異なる魅力を備えながら、一貫して“土地の個性を価格以上の完成度で伝えること”を軸に展開されています。
その背景にあるのは、単なる“高コストパフォーマンス”ではなく、
自社畑100%、複数産地を使い分ける栽培基盤、そして産地ごとの個性を安定して表現できる一貫管理体制です。
Marchigüe/ マルチグエとは
コルチャグアの中でも、海の影響を受ける沿岸性エリア
ビーニャ・マルチグエの名の由来でもあるマルチグエは、チリを代表する赤ワイン産地コルチャグア・ヴァレーの沿岸側に位置するエリアです。
コルチャグアと聞くと、豊かな果実味と熟したタンニンを備えた力強い赤ワインの産地として知られますが、そのなかでもマルチグエは、海の影響によって果実の厚みと自然な引き締まりを両立しやすい点で、近年とくに注目されるエリアのひとつです。
パヌールにおいても、このマルチグエの個性は、ブランド全体の“輪郭”を形づくる重要な要素になっています。
海風がもたらす、成熟と鮮度のバランス
マルチグエを含むコルチャグア沿岸部では、
太平洋からの冷涼な影響、とりわけフンボルト海流、午後の海風、朝霧、昼夜の寒暖差が、ブドウの成熟に大きく関わっています。
この条件下では、日中は十分な日照によって果実がしっかりと成熟しながらも、夜間には気温が下がるため、酸やアロマの鮮度が保たれやすくなります。
結果として、ブドウは単に糖度が上がるだけでなく、果実の凝縮感、自然な酸、熟したタンニンを備えた、バランスの良い状態で収穫されやすくなります。
これは、現在の市場で求められる
“濃いが、重すぎない”チリワインを支える非常に大きな条件です。
土壌が支える、果実の凝縮と輪郭
マルチグエの土壌は、主に花崗岩由来で、水はけに優れた構成が特徴です。
さらに一部では粘土質を伴い、ブドウ樹に適度なストレスを与えることで、果実の凝縮や風味の密度を高める条件が整います。
この土壌環境により、
カベルネ・ソーヴィニヨン、カルメネール、シラー、メルローといった赤品種では、
力強さだけに偏らず、果実の厚み・熟したタンニン・輪郭のある味わいが生まれやすくなります。
マルチグエの価値は、単に“温暖でよく熟す”ことではなく、
海と土壌の両方によって、成熟と緊張感を両立できることにあります。
コルチャグア・ヴァレー|赤品種に強みを持つ、自社畑の核
ビーニャ・マルチグエの自社畑の中核をなすのが、コルチャグア・ヴァレーです。
首都サンティアゴから南に車で2時間半ほど、
この地域は、穏やかな地中海性気候を持ちながら、海の影響をわずかに受けることで、温暖さと冷涼さのバランスを備えています。
渓谷の斜面は沿岸山脈の縁に位置し、急斜面が多い一方、その多くが段々畑としてブドウ栽培に適した形で活用されています。
この地では、
カベルネ・ソーヴィニヨン、カルメネール、シラー、メルローといった赤品種を中心に、
熟した果実味と骨格を持つワインが生まれます。
パヌールの赤ワインの基盤にある、“しっかり熟す力”を支える重要なエリアです。
コルチャグアの区画構成
マルチグエ周辺のコルチャグア側に複数の自社区画を所有し、それぞれの立地条件に応じて多様な品種を栽培しています。
主な区画の一例
・サンタ・マルタ区画
カベルネ・ソーヴィニヨン、カルメネール、メルロー、シャルドネ、サンジョヴェーゼ、ヴィオニエ
・サンタ・アナ区画
カベルネ・ソーヴィニヨン、カルメネール、シラー、シャルドネ
・ラ・ケブラーダ区画
カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、ピノ・ノワール、マルベック
・アルト・ティエルカ区画
カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、カルメネール、ピノ・ノワール、ヴィオニエ、プチ・ヴェルド、シラー
このように、赤品種を中心にしながらも、
品種ごとに適した区画を持ち、多様なスタイルを組み立てられることが、ビーニャ・マルチグエの大きな強みです。
これは、単に畑が広いという話ではなく、
“レンジごとに狙う味わいを、畑の段階から設計できる”という意味で、
パヌールの安定感と幅を支えています。
クリコ・ヴァレー|白品種と安定供給を支えるもう一つの柱
ビーニャ・マルチグエのもう一つの重要な産地が、クリコ・ヴァレーです。
この地域は、チリの中でもマイクロ・クライメイトで知られ、アンデス山脈に近い東部では山からの冷たい風の影響を受け、また雪解け水をもたらすロントゥエ川・テノ川の恩恵によって、ブドウ栽培に適した多様な環境が生まれています。
さらに土壌は、長い年月をかけて堆積した石灰岩および火山岩由来の要素を持ち、チリの他産地に比べても比較的肥沃です。
そのため、クリコ・ヴァレーは
安定した生産量と品質を両立できる、信頼度の高い産地として広く知られています。
とくにこの地域は、
ソーヴィニヨン・ブランやシャルドネなど白品種の重要産地であり、
パヌールにおける白ワインの土台を支える存在でもあります。
クリコの区画構成
主な区画の一例
・ロス・モノス区画
シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、メルロー、ピノ・ノワール
・ロス・カマチョス区画
ソーヴィニヨン・ブラン
このように、
コルチャグア=赤品種の厚み、クリコ=白品種と安定感
という構造が、パヌール全体のポートフォリオを支えています。
この2産地を自社畑で持つことは、
ブランドの幅と一貫性の両立において非常に大きな意味を持ちます
自社畑100%が生む、一貫した品質
ビーニャ・マルチグエは、すべてのワインを自社栽培のブドウで醸造しています。
畑から醸造、熟成、ボトリングまでを自社で一貫管理することで、産地や品種の個性を安定してワインに落とし込むことができます。
約2,500haという規模は、単なる供給力ではなく、
区画・品種・レンジごとに最適な果実を使い分けられる設計力として機能しています。
この体制こそが、パヌールのような親しみやすいレンジでも、
価格以上の完成度を実現できる理由です。
ブドウ栽培農家としての顔
実はマルチグエはワインの生産だけではなく、ブドウやバルクワインを他の生産者に販売しているブドウ栽培農家でもあります。その供給先にはチリを代表する銘醸ワイナリーも含まれており、質の高いブドウは高値でも要望が殺到するほどの人気で、数多くのプレミアムワインにも使用されています。また、バルクワインは世界中の大手ワイナリーからの信頼も厚く、数多くの輸出実績を誇ります。
醸造・熟成|レンジごとに明確な設計
パヌールの魅力は、価格帯ごとにしっかりと醸造・熟成設計が分かれている点にもあります。
たとえばレゼルバ・エスペシアルでは、
赤ワインは選果後、ステンレスタンクで温度管理下の醗酵を行い、
さらにポストマセラシオンによって、果実の厚みとタンニンの骨格を整えています。
その後、2〜3年使用のフレンチオーク樽で約8か月熟成することで、
果実味を損なわずに奥行きとまとまりを加えています。
白ワインでは、清澄した果汁を低温で醗酵し、
一部をフレンチオークに接触させることで、
果実の鮮度を保ちながらも、質感に厚みを与える設計が採られています。
こうしたアプローチからも、
パヌールは単なるエントリークラスではなく、
価格帯ごとに“狙う味わい”がきちんと設計されたブランドであることがわかります。
評価が裏づける、ワイナリーとしての完成度
ビーニャ・マルチグエは、2025年に
Catad’Or World Wine Awards において
Best Winery of the Year を受賞しました。
この評価は、単に一部の上級キュヴェが高得点を得たというだけではなく、
ワイナリー全体としての品質設計、技術力、レンジ構成の完成度が認められたものです。
上位レンジを含む複数アイテムが同時に評価されている点も、
ブランド全体の信頼感を支える大きな要素です。
商品構成
パヌールは、ビーニャ・マルチグエの自社畑基盤を背景に、
親しみやすいヴァラエタルから、より産地の個性を感じられるレゼルバ・エスペシアル、そして上位レンジまでをつなぐブランドです。
その魅力は、“安くて美味しいチリワイン”にとどまらないことにあります。
赤はコルチャグア、白はクリコ、そして上位レンジではマルチグエという沿岸性テロワール。
そうした背景を持つことで、パヌールは価格以上に説得力のあるチリワインブランドとして成立しています。
パヌールのレンジ構成
■ヴァラエタル
親しみやすい果実味と飲みやすさを軸に、チリワインらしい魅力を素直に楽しめるレンジです。
カベルネ・ソーヴィニヨン / カルメネール / シャルドネ / ソーヴィニヨン・ブラン / メルロー
■レゼルバ・エスペシアル
自社畑由来の果実の質を土台に、品種や産地の個性、醸造・熟成による奥行きがより明確に表れる中核レンジです。
カベルネ RE / カルメネール RE / シャルドネ RE / ピノ・ノワール RE
■エスカルラタ
パヌールの中で、マルチグエの価値をより明確に映し出す上位レンジです。
ブランドに“上”が生まれることで、既存レンジも含めた全体の見え方が変わり、パヌールというブランドそのものに奥行きが加わります。
Escarlata/ エスカルラタ
マルチグエの個性を、より深く映し出す1本
エスカルラタは、パヌールの中でも
マルチグエという産地の魅力を、より明確に表現するために生まれた上位レンジです。
コルチャグア沿岸部に位置するマルチグエは、
太平洋からの海風や朝霧、昼夜の寒暖差に恵まれたエリア。
この土地では、果実がしっかりと成熟しながらも、酸やアロマの輪郭が保たれやすく、
濃密さと洗練をあわせ持つスタイルが生まれます。
エスカルラタは、そうしたマルチグエの個性を土台に、
果実の厚みだけでなく、自然な酸、滑らかな質感、奥行きのある余韻までを丁寧に引き出した1本です。
熟した黒系果実やスパイス、ほのかな樽のニュアンスが重なり、
口当たりはなめらかで、しっかりとした存在感がありながらも、重さに偏らないバランスが魅力。
チリワインらしい豊かさを備えながら、より洗練された印象へと仕上げられています。
パヌールの親しみやすさの先にある、
マルチグエの奥行きと品のある表現。
それを最もわかりやすく示しているのがエスカルラタです。










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