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ちょっと難しいテイスティング用語(2)

最近ワイン業界も難しい理系的な話が出てくる機会が増えました。何となくのフィーリングで語られるとか、言ったもん勝ち(笑)な感じより、良い事ですが、『モルmol』が出てきた段階で理科の授業中は気を失っていた私にとっては、なんともキビシイです。


前回に続いて、ちょっと難しいテイスティング用語についてお話してみようと思います。

ゲイミー [Gamy]

「猟鳥獣の香り」「獣っぽさがある」という意味です。概ね熟成した赤ワインに使われる言葉で、ポジティブな意味で使われる事が多いです。

猟鳥獣の香り、というと、ピンときにくいかもしれないですが、獣の分泌液である香水のムスクや、皮革の匂いなども含まれている、と説明すると分かりやすいかと思います。

香水の調合のように、単体では良い香りとは言いにくいのだけど、熟成した赤ワインの、他のドライフルーツやスパイスの香りなどと合わさる事で、好ましい香りとなる訳です。

ただし、熟成したワインに含まれる事が多い香りなので、その熟成の香り自体は慣れている方には良い香りだけど、慣れていない方には、苦手な香りに思われる可能性があります。


写真:右の様な熟成した赤ワインに現れやすい

ソムリエさんが「ゲイミーなスタイルのワインです。」と、良い意味で説明するようなワインだとしても、その香りが好みで無い人はいる、という事です。

ウォッシュ系や熟成された、個性の強いチーズなどが、好きな人には良い香りだけど、苦手な人にはそうでないのと似た感じですね。好きな人にはたまらない。


余り聞か無いのですが、たまに味わいの表現に使われる事もあるそうです。

フリンティ【Flinty】

火打石の香りの事です。

火打石って何よ?ってなりますか?なりますよね。
火打石なんて、超コアなキャンパーか、江戸っ子気質な方達が持ってる位かで、後はマイクラで出てくる位ですよね。(※マイクラ=マインクラフトと言われるデジタル版ブロックゲーム)

火打石自体は追ってもう少し調べようと思いますが、今日は、『花火の後にふっと香るような硝煙(しょうえん)香』という説明で終わっておきます。

石をクンクンと嗅いだ香り、というよりは、火打石をカチカチと打った時の香りです。

ポジティブでもネガティブでも無く特徴として語られる事が多い印象ですが、ネガティブな事は滅多にないと思います。「極端にフリンティな特徴が出ている」などとなると、ネガティブですがね。

フランスのシャブリや、ロワールのプイィ・フュメなどの特徴として挙げられる事がありますが、石灰質土壌の土地のワインに現れやすいとされる事も多く、品種の特徴というよりは、産地の特徴である事が多いです。


基本、香りに使われますが、まれに味わいの表現にも使われます。

使用例としては、「このシャブリには、フリンティなニュアンスがある。」「フリンティで柑橘系の香りが心地よいワインだ。」などという感じで使われます。

プイィ・フュメをテイスティングした時に、「フリンティなニュアンスがありますね。」と言ったら、2回に1回位、的を射た表現になりそうです(笑)(←いい加減なアドバイス)

クリスプ[Crisp]

キリっとした酸味がある状態を表現するテイスティング用語です。ポジティブな意味合いで使われます。

酸味にも種類があるのですが、酸の質量が多く感じられ、キレが良く、口の中をリフレッシュさせるような味わいの時に使われます。

一般的に冷涼な産地の白ワイン等に多く見受けられます。

「クリスプな酸味が心地いい1本。」という使い方をします。

セイヴァリー[Savoury, Savory]

『旨味、塩味』、『味わいのしっかりした、風味のある』といった意味の、味わい、香りを表現するテイスティング用語です。人によって使うニュアンスの幅が大きい単語であるのには注意が必要です。赤ワインにも白ワインにも使われます。

原語でも、日常の中で、『スパイシーな、風味のしっかりした、塩っけのきいた香ばしい』という幅広い意味で使われており、ワインの表現として使われる際も、『フルーティーさが中心で無いもの』『塩気、旨味の効いた』『風味、味わい豊かな』など使われ方に幅があります。

日本では、そのままカタカナにした形でテイスティングの表現に使われ始めたけれど、まだまだ新しい事もあり、共通の認識が定まっていないように感じます。

今の所日本では、日本人にもともと馴染みの強い『塩気、旨味』という意味合いをさす単語として使っている人が多いように感じます。

なかなか使うのが難しい単語です。相手がこの単語を使った際に、どういった意味で使ったのか注意が必要です。

今回は、『ゲイミー』『フリンティ』『クリスプ』『セイヴァリー』を取り上げてみました。
少し間が空くかもしれませんが、また『その3』をお届けしますね。

投稿者

やまくみ

・ソムリエエクセレンス(JSA認定)
・SAKE DIPLOMA(JSA認定)
・DIPLOMA LEVEL3(WSET認定)

ワインの輸入商社にて、バイヤーを経験。
退社後の現在は、ワインのなんでも屋をちみちみとやっている。