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フランス ボルドー
シャトー・ラグラーヴ・パラン
たった一人、わずか3.5haの畑で造る“超”こだわり派シャトー!
『最高のワインは最高のブドウから』をモットーに
完熟した果実味とエレガントな味わいが完璧に調和したワインを
造る職人のワイナリー!
アントル・ドゥ・メールの地で三代続いたシャトー
写真:南向きの斜面に畑とシャトー
シャトーの始まりは1930年、現オーナーのピエール・ラフォン氏の祖父母が自宅兼セラーと、わずか2ヘクタールの畑を購入したことです。その後、ラフォン家によって少しずつブドウ畑を増やしていき、1955年にピエールの両親がシャトーを引き継いだときには、畑は18ヘクタールまで拡大していました。当時はバルク売りが主でした。
ピエールが両親からシャトーと畑を引き継いだ後、「高品質で自分が納得のいくワインを造りたい!」と決心したピエールは、良い畑を厳選、18ヘクタールあった畑を黒ブドウ用に4.5ヘクタール、白ブドウ用に1.5ヘクタールだけ残し、僅か6ヘクタールまで減らしました。
そして現在は「納得がいかなかったから」とさらに畑を減らし、黒ブドウ用は3.5ヘクタールのみとなっています。
日当たりのよい南向きの畑
写真:良い畑だけを残すため、面積を3分の1に!
シャトーはガロンヌ河を挟んでちょうどソーテルヌの対岸にあたる場所に位置しています。やや勾配の強い、開けた丘陵地。しかも南向きの日当たりの良い斜面に畑があり、斜面の一番上にシャトーがあります。
ボルドーでもかなり温暖なエリアにあたり、生育期はほとんど雨が降りません。
飽くなき向上心と、日々の努力を惜しまないラフォン氏
写真:全てを一人でこなし、畑は毎日隅々まで手入れ
寡黙で穏やか、優しいまなざし。そして彼の厚ぼったくてあたたかい大きな手は、まさに土とともに生きる人のそれでした。
シャトー・ラグラーヴ・パランでは、収穫を除く全ての作業をピエール・ラフォン氏一人で行います。つまり、オーナーであり栽培責任者でありエノロジストでもあるというマルチプレイヤーなのですが、実はワイン造りを引き継ぐまでは大学の数学教師として教鞭をふるっていたという面白い経歴を持っています。
ワイナリーで生まれ育った彼にとって、ブドウ栽培やワイン造りは幼い頃からとても身近な存在でした。両親のワイン造りの手伝いなどもしていましたが、当時は瓶詰したものを販売するのではなく、バルク販売をしていたので、今とは全く違うスタイルでした。
ピエールが両親からシャトーを引き継いだのは2000年。もともとワイン造りに興味を持っていたピエールですが、サン・テステフにある銘醸ワイナリー、シャトー・オー・マルビュゼを飲んで感銘を受け、「こんなワインを自分でも造りたい!」とワインの世界に入ることを決意しました。
栽培や醸造の勉強は学校ではなく、両親や周りの人たち、そして自身が感銘を受けたワイナリーたちが先生でした。ピエールがワインの世界に入るきっかけとなったオー・マルビュゼやサン・テミリオンのトップシャトーであるシュヴァル・ブランなど、ピエールが「こんなワインを目指したい!」と思ったシャトーを片っ端から訪れては、実際に醸造家や栽培者と話をしてワイン造りを教えてもらいました。
そんな彼の情熱が実を結び、ワインの品質は年々向上。ヴィンテージの良し悪しに左右されない、安定したワイン造りをしています。
面白いエピソードがあります。ピエールが教えを乞うたオー・マルビュゼのアンリ・デュボスク氏が、逆にラグラーヴ・パランの味をとても気に入り、ワインを買いに来るようになったそうです。またシュヴァル・ブランとも懇意となり、一年落ちの樽を安く譲ってもらうなど、彼の熱意が色々な面でシャトーの現在を支えています。
格付けシャトーに匹敵する「低収量」
写真:収穫期には完璧な状態に
ピエールのワイン哲学の第一にあるものは、「良いブドウを育てる」こと。
冬の剪定から収穫期まで、全ての畑仕事をピエール一人で行います。
ほとんど毎日畑の見回りを行う彼の目は、常にブドウの生育状況を監視しています。他の房よりも未熟な房があれば、その都度丁寧に落としていきます。こうすることで、彼が目指す果実味たっぷりのワインにふさわしい、完璧に熟したブドウのみにきちっと栄養が行き渡るのです。
この結果、この価格帯の一般的なワインが50~60ヘクトリットル/ヘクタールの収量であるのに対し、ラグラーヴ・パランでは35~40ヘクトリットル/ヘクタールと非常に低収量です。これはメドックの格付けシャトーなどにも匹敵するレベル!なんと贅沢な造りであるか。
しかも、未熟果があればすぐに対処して常に最良の状態にしておくため、収穫の時には全てのブドウが100%健全な状態で生っています。収穫は40人の日雇い労働者とともに一斉に行いますが、この時点でブドウは完璧なコンディションのため、本当にあっという間に収穫は終わってしまいます。それもまた、健康なブドウジュースを得るための秘訣なのかもしれません。
最高のワインは、最高のブドウから。
写真:インタビュー中でも気になるところがあればケアをします
ピエール・ラフォン氏の掲げるワイン造りの哲学は非常にシンプルです。それは「最高のワインは最高のブドウから」という彼の言葉に集約されます。そして彼のワインを一口飲めば、如何に彼がその言葉に忠実であるかがはっきりと感じ取れます。
「最高のワインは最高のブドウから」・・・この言葉が意味するところは、本当に美味しいワインを造るためには、小手先のテクニックや樽の“味付け”に頼るのではなく、第一に素晴らしいブドウを栽培し、収穫することが大事なのだ、ということです。そして、素晴らしいブドウを得るための努力を、ピエールはまったく惜しみません。
彼の考えるワイン哲学を実現するためには、3つの要素が必要だとピエールは言います。南向きの粘土石灰質土壌という素晴らしいテロワール、ラグラーヴ・パランを裏で支えるステファン・トントンジ氏のコンサルタント、そして何よりも大事なことが日々の畑の手入れ・・この3つが「最高のブドウ」を造る完璧なコンビネーションとなるのです。
ステファン・トントンジ氏のコンサルタントとしての哲学は、テロワールを尊重したモダンなワインを造ること、そしてそのテロワールを、ワインが開けられるその瞬間にアロマを最大限に持っていくために利用することです。ステファンの哲学がピエールのそれと共感し、ワインの品質は目覚ましく向上しました。
ステファンは研究所も持っていますが、「科学が人間の感性やテロワール、ワイン造りに対する人間の愛情に取って替わることは決してない」と確信を持って語ります。
果実味を一切損ねないための醸造を・・・
写真:目の行き届く小さな設備
最高のブドウを最高のワインに仕上げるにはどうすればよいか―。
ピエールが選択したのは、果実味を損ねないためにより自然で、人の手を必要以上に加えない醸造・熟成です。ラグラーヴ・パランはオーク樽で12か月間熟成させますが、その新樽比率は33%と控えめ。実際に飲んでみると、樽が主張しすぎず、力強い果実味を下からしっかりと支えていることがよく分かります。樽のニュアンスは果実味に溶け、より複雑で、エレガントさのあるボルドーワインへと昇華しています。
ラグラーヴ・パランの醸造所は写真の通り非常に小さく、中には必要最小限のものしか配されていません。全てをピエール一人で行うため、自分の目の行き届く広さに収める必要があるからです。ワインは醸造所の半地下にある石造りのセラーで寝かされています。
最高の熟成樽を得るためには?
写真:完全オーダーメイドのオーク樽
オーク樽はボルドーの赤ワインにとって非常に重要なファクターです。
オーク材の産地、その良し悪し、ワインの目指すスタイルに合ったロースト加減であるかどうか、またそれらをどう組み合わせるか・・・など、ワイナリーは常に頭を悩ませる部分です。
また、シャトーの力関係にも左右されます。良い樽は、格付けシャトーや有名なシャトー、そして資金力のあるシャトーから先に買われていってしまいます。そのため、多くのプティ・シャトーは最上のオーク樽を得ることが非常に難しいのです。
ところがラグラーヴ・パランの場合、だいぶ状況が違います。彼のセラーに置かれたオーク樽にはメーカーの刻印などもなく、またそのデザインもどこか普通のものと異なります。実は彼が使っているオーク樽は、知人の樽職人から直接購入しているもので、ピエールがその知人に「この森の、この木から樽をつくってほしい」と材料まで指定してつくらせたものなのです。
また、2004年まではサン・テミリオンのシュヴァル・ブランから1年落ちの樽を安く譲ってもらっていたりと、自身の情熱で築いてきた人脈をうまく活用して、良い樽を調達しているのです。
ラグラーヴ・パランの特徴である、完熟した果実味と程よい樽感の絶妙なバランスは、まさにこうした努力によってつくり上げられているのです。
SOPEXAの選ぶTOP100ワインに選出!!
2012年のソペクサUSAで、TOP100ワインの一つに選ばれています。
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