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フランス プロヴァンス
ドメーヌ・ラフラン・ヴェロル
- 500 chemin des luquettes 83740 la cadiere d'azur, France
ムールヴェードルという、このテロワールにふさわしい品種を用いて、熟成に耐えうるグランヴァンを作りたい。
ワインに関しては、ボルドー・グラン・ヴァン同様に、若いヴィンテージのものは非常に力強く、堅牢な印象の赤ワインですが、数年経つと一気に印象が変わります。しっかりとしたストラクチャーは若いうちからも感じられますが、堅いタンニンが驚くほど滑らかになり、信じられないほどのエレガントさを感じることができるようになります。
当初のガリッグやペッパー、杉やタバコといったスパイシーな香りは、熟成するに従いブラックベリーやチェリー、グリオットなどのフルーツの完熟したジューシーな味わいへとその表情を変えます。ツルンとした滑らかなタンニンが感じられ、余韻は驚くほど長く続きます。
偉大なバンドールのワインがボルドーのグラン・ヴァン同様に長熟するのは、おそらくこの特殊なテロワールとミステリアスな品種であるムールヴェードルのおかげであると言えるでしょう。
プロからの注目を集めるバンドールワイナリー
ラフラン・ヴェロルのワイナリーの歴史は、4つの段階を経て今に至ります。
① 1405年に ROVAYROLA(ラヴェロラ);「 樫の植樹されている場所」という言葉が、現在のワイナリー名である、VEYROLLEへと移り変わったと言われています。
② 文献では17世紀初めに、メルシオン・ラフラン氏が、バンドールの北にあるカディエール・ダジュール近郊の、ブドウ畑やオリーヴ畑、胡桃などの畑を所有していたという記述があります。
③ その後、1662年から家族での分割、相続が始まり、翌年の1663年にはアンドレとルイ・ラフランの所有となりましたが、さらに所有者が家族の手から他に変わり、19世紀に入ったのちに、今の所有者の先代にあたる方が買収します。
④ そして1929年、現オーナーの曾祖父である、ロマン・ヴァントル氏が彼の孫娘であるクレマンに畑を譲ります。
バンドールでは、歴史の古いワイナリーでもあり、さらにタンピエを筆頭に、ピバルノン、その次がラフラン・ヴェロルであると言わるほどに、プロのテイスターやワイン評論家の間では評判の高いワイナリーです。
ワイナリーと共に歩む醸造家
写真:醸造責任者・畑品質管理者 : ジャン・マリー・カステル氏
醸造学を修めた後、彼のお父様も当ワイナリーで醸造責任者及び畑品質管理責任者として働いていたことから、そのままラフラン・ヴェロルでワイン造りを続けていくことを決意します。実際にワイナリーの経営以外に関する仕事は彼が全て行っています。
カステル氏にはご息子がいらっしゃいますが、ご息子の方は家族のワイナリー事業に専念しており、既に独立しています。カステル氏は、現在のオーナーであるマダム・ジュヴ・フェレックからドメーヌを引き継がれる予定となっております(マダムは未亡人で相続人がいないため)。
青粘土質土壌をもつ特殊なテロワール
一般的なバンドールのワイナリーのテロワールは、中生代(2億から1億年前の代)の珪土・石灰質土壌が多く、一部、三畳紀の硬い石灰質土壌の塊がある区画もあります。
白亜紀の地質は、砂岩質と硬い石灰質の母岩の上に、石灰板と泥灰質の土壌が交互に重なりもしていますが、ラフラン・ヴェロルの持つテロワールでは、母岩が泥灰質よりもさらに深い粘土質土壌となっています。ワイナリーの住所でさえも、「Chemin de l’argile」(粘土の道)と言われているほど粘土質土壌が強く、さらに驚くべきことに、赤粘土の土壌だけでなく、50センチ以上の深い青粘土質土壌が存在します(有名なシャトー・ド・ピバルノンにも一部見受けられる)。
青粘土質土壌を持つワイナリーで有名なのは、シャトー・ペトリュス、シャトー・シャロン、シャトー・ディケムという、世界でも最高品質のワインを造りだす有名なワイナリー達です。ラフラン・ヴェロルというこのように特殊なテロワールを持つワイナリーで、土地に適した品種を使い、正確な醸造を経れば、素晴らしいワインができないはずがありません。
標高200メートルから300メートルあたりの青粘度質土壌に植えられた樹齢の高いムールヴェードルは、最高の状態を保ちゆっくりと完熟していきます。前述した通り、この地区は晩秋と冬の雨は多いですが、春夏は降雨量が少なく、年によっては全く雨が降らないこともあります。ところがこの土壌は冬の雨を蓄積し、乾燥した年には少しずつブドウの樹が水分を補給できるよう、非常に大きな役割を果たしてくれるのです。
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