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レストランレポート“Cheval Blanc(スイス)”。日本人シェフが支えた3つ星。
2016年度のミシュラン・スイスで3つ星に輝いたレストラン・レポート!
by 株式会社モトックス
最終更新日:2016-06-30
目次
- .スイスからお届けします
- .スイス、バーゼルのレストラン
- .いよいよ料理の登場です!スターターは「キュウリ、ヨーグルト、エスカベッシュ」。
- .マグロ、アヴォカド、ヴィネグレット
- .マカロン、フォワ・グラ、オレンジ、ガラム・マサラ
- .クトー(マテ貝)のラグー
- .ウナギ、いろいろな種類のカブ
- .フォワ・グラのラペ(すりおろし)、蟹、青りんご
- .カナビネーロ(赤エビ)、海藻、レモン
- .ルジェ(ヒメジ科の魚)、クリスピー鱗、サフラン、黒ニンニク、トマトヴィネガー
- .ピレネー産の乳飲み仔羊のセル(鞍下肉)、パプリカ、ジンジャー
- .チーズ盛り合わせ
- .アヴァン・デセール
- .ガリゲットのイチゴ、ライム
- .ミニャルディーズ(お菓子)いろいろ・・・
- .鷦鷯(ささき)氏
スイスからお届けします
スイス在住のミドリーナです。
日本は梅雨真最中でしょうか?
湿気と暑気に苦しんでいる方もいらっしゃるかもしれません・・・。
今年のヨーロッパは異常気象。ですが日本とは逆。
6月中旬だというのに、まだコートやブーツで街を歩く方が見受けられます。気温が15度前後という、冷夏が続いておりまして、せっかく買ったプロ仕様のバーベキュー・グリルはいつまでたっても庭に出せず、仕方なくベランダで使用しているという悲しさ・・・
そんな肌寒い初夏なのですが、2016年度のミシュラン・スイスで3番目となる3つ星に輝いたお店に予約がやっと取れたので、今回訪問してきました。
相変わらずの長文レポート(笑)となりますが、どうぞおつきあいくださいませ!
スイス、バーゼルのレストラン
こちらのお店は、スイスの都市バーゼルにあります。
バーゼルといえば、高級時計で有名な街ですよね。
訪れたのはライン河沿いに佇む最高級ホテル「Les Trois Rois」の中にある
「Cheval Blanc」というレストラン。ペーター・クノーグル氏がシェフを務めています。
実はこちらのお店は、ス・シェフ(副料理長)が鷦鷯(ささき)進氏という日本人の方。世界の食通を唸らせたと言われる、「Philippe Rochat(旧店名)」出身で、ヨーロッパのあらゆる国のレストランで、経験を積まれたシェフなのです。
伺う前に念のため、ドレスコードを確認したところ、さすがスイス・・・。
「Bling-Bling」ということでしたので、そのような格好で乗り込んでいったのであります(笑)。
※「Bling-Bling」とはキラキラ・ギラギラという意味
フランスの高級ホテル内にある、3つ星レストランのサル(食事の間)と比べるとコンパクトで座席も少なめですが、ライン河を眺めながら、ゆったりと食事をするには最高の場所と言えるでしょう。
スイスは4ヶ国語を話す国。ここはバーゼル、スイスの中ではドイツ語圏の都市。聞こえてくる会話はもちろんドイツ語ですので、なんだか海外のレストランに来たような錯覚に陥ります。
席に着くとアペリティフを勧められます。
あとで気づいたのですが、ゲストに応じておすすめのシャンパーニュが違うようです。
メニューを渡されましたが、最初からムニュ・デギュスタシオン(フルコース)をお願いするつもりでしたので、そちらを選択しました。
いよいよ料理の登場です!スターターは「キュウリ、ヨーグルト、エスカベッシュ」。
スターターにふさわしい、キュウリの瑞々しさ、ヨーグルトとエスカベッシュの酸味と清涼感が感じられる、優しい味の一品。
マグロ、アヴォカド、ヴィネグレット
一口サイズのマグロのタルタルの隠し味は、少量のお醤油とヴィネガー。そして柔らかい味わいのアヴォカドと、食感のアクセントになるラディッシュのみじん切り。
マカロン、フォワ・グラ、オレンジ、ガラム・マサラ
マカロンはマカロンと言っても、儚げなくらい繊細で壊れやすい感触。一口で食べることをすすめられます。口に入れた瞬間に、舌の圧力をかけなくても自然に崩れるくらいのテクスチャー、フォワ・グラの濃厚な味わいに、爽やかなオレンジ、ほのかに香るスパイス。
クトー(マテ貝)のラグー
海の砂中に隠れている、あの細長い貝!下処理を怠ると、「ジャリ・・・」となるあの食材。見事に下処理されていて、砂袋は取り除かれ、細かく切ってあります。上に散らしてあるのは、ピンク・ペッパー!
ウナギ、いろいろな種類のカブ
鷦鷯氏からのサプライズでした!
瞬間燻製したくらいの香り付けとキュイッソン(火を入れること)のベビー・ウナギに、種類豊富なカブ、わさびのピュレ、ヨーグルト、黒ニンニク、わずかに磯の香りがすると思ったら、イカスミも入っていました。絵画のように仕立てた、遊び心満載の一品です。
フォワ・グラのラペ(すりおろし)、蟹、青りんご
フォワ・グラを削っちゃいましたか(笑)。
その中に思い切ってスプーンを入れると、しっとりとした蟹のほぐし身が隠れていて、青リンゴの酸味と合わさり、ネットリ感、しっとり感、シャッキリ感といった、あらゆる違った食感と味わいが感じられ、とてもオリジナルな一品。
カナビネーロ(赤エビ)、海藻、レモン
この海老は地中海でよく見かける、茹でる前から真っ赤な高級海老。プリップリの食感を残すように、軽くポシェ(沸騰させずに煮ること)されています。
細いシャキシャキした食感の海藻(オゴノリやワカメもあったかな)に、全体を引き締めるレモンの酸味が効いたブイヨンが素晴らしい!
ルジェ(ヒメジ科の魚)、クリスピー鱗、サフラン、黒ニンニク、トマトヴィネガー
ルジェはスーパーにも並ぶんですけど・・・骨が多いから、私はレストランで食べるもの!と勝手に思っています。
日本料理である、松笠揚げにしたカリッカリの鱗、軽くサフランの風味がついた泡のソース、ルジェの上には黒ニンニクのピュレが添えてあります。口に含むと酸っぱいトマトのヴィネガーが広がり、マルセイユのブイヤベースや、地中海の太陽を思わせる一品。
ピレネー産の乳飲み仔羊のセル(鞍下肉)、パプリカ、ジンジャー
仔羊の脂身の多いバラ肉をクリスピーに仕上げたものを上に乗せています。
パプリカの衣を纏い、ジンジャーの風味を微かに感じさせる乳飲み仔羊は、ナイフが必要ないほどに柔らかく、肉汁がとてもジューシー。パプリカの酸味と甘みはもちろん、トマトのコンフィ、ナスのキャビア・・・。全体的にすべてのお料理に酸味が非常に効いていてメリハリがあります。
付け合わせは、ジャガイモのピュレ、細かなクルトンチップスが添えられています!
チーズ盛り合わせ
スイスに住んでいるので、忘れてはいけないマストアイテムである、チーズ。フランスのフロマージュも多かったですが、デザートに備えて、控えめに・・・!
アヴァン・デセール
このあたりで、シェフが各テーブルを回ってご挨拶に来てくださいます。
ガリゲットのイチゴ、ライム
今がちょうど旬のイチゴを使ったデザート。可愛らしい香りと酸味、それにライムの風味付けをした、フレッシュさで締めくくるデザート!
ミニャルディーズ(お菓子)いろいろ・・・
ここは3つ星レストラン・・・ミニャルディーズだけでもかなりの数が出てくるのをすっかり忘れておりました・・・。
当然のことながら、小さなビスキュイ仕立ての小菓子、フルーツのマカロン、生ショコラまで・・・全部食べました(笑)。
鷦鷯(ささき)氏
鷦鷯氏が、レストランが3つ星を取るまでの経緯をお話ししてくださいました。
鷦鷯氏が来られる前は、高級ホテル内にある、ただのレストランで客はまばら、夜でも2組程度しか入らなかったようです。
2008年からペーター・クノーグル氏とともにゼロからのスタートをし、その年に1つ星、2009年に2つ星、2016年遂に3つ星に輝きました。これはスイスの5つ星ホテル内にあるレストランでは史上初めての快挙でした。そこまでの道のりは大変であったと思います。
外科医のオペ・チームでは、こう言われます「手術は掛け算、一人でもゼロがいると、全てがゼロになる」。厨房ではもちろんのこと、サービス、洗い場、ソムリエ、レセプション・・・。チーム内の誰もが、3つ星に値する仕事を要求されます。
そんな鷦鷯氏のミッションは6月30日で終了。 ※2016年
7月上旬にスイスを発たれ、神戸に拠点を置くことになるそうです!ミドリーナの実家は神戸。フレンチの3つ星が神戸に出現する日が来ることを祈りつつ・・・!
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