混同しがちな用語解説 『日本ワイン』、『国産ワイン』、『国内製造ワイン』

音感が似ていたりして混同しがちな用語ってありますね。一度理解したのに、しばらくたつとまた分からなくなっちゃう。 そんな用語たちを解説してみたいと思います。

by Wine-Link

最終更新日:2024-02-15

山梨県や北海道など、日本国内で造られたワイン、皆さん、何と呼ばれますか?

多分、『国産ワイン』、もしくは『日本ワイン』と呼ばれるのではないかと思います。

実はこの『国産ワイン』、『日本ワイン』は、同じように見えて意味合いが違います。また、この違いを明確に区別するために『国内製造ワイン』という区分が定義されました。

今回は、なんだか似ている『日本ワイン』、『国産ワイン』、『国内製造ワイン』という用語について取り上げてみたいと思います。



日本はワイン造りが難しい国

用語の説明をする為に、日本のワイン造り、歴史について触れる必要があります。

もともと日本は、気候的にワインを造るのが難しい国です。場所による差がありますが、ワイン用のブドウを造るには土地が肥沃過ぎたり、雨が多く湿度が高かったり、というのが主な理由です。

その為、『国産ワイン』と呼ばれる、日本で造られるワインの多くは輸入したブドウや濃縮還元果汁、輸入ワインを原料に使ったものが多かったのです。

ちょっと『国産』とはかけ離れた感じがしますね。

中には国産ブドウを使って造られたワインも存在していましたが、どちらも『国産ワイン』と呼ばれており、ラベルを見てもどっちか分かりませんでした。



日本でもワイン造りが発展

その後80年代頃から、大手ワイナリーが中心となり、研究・改良を重ねワイン用のブドウ造りが増え、国産ブドウでのワイン造りが増加してきました。

また、2000年を過ぎた頃からは、大手企業では無く個人で、購入した国産ブドウ、もしくは自分達で栽培したブドウを使ったワイン造りを始める生産者が増えてきました。

そんな動きを受け、「これは、国産原料のワインが分かるように表示の整備をする必要があるのでは?」という考えが高まり、ついに2015年、国税庁がワインの表示ルール制定を行う事になったのです。



『日本ワイン』を確立

国税庁が決めた新しいルールにより、『日本ワイン』と名乗れるのは国産ブドウを100%使って日本で醸造した場合のみとなり、それ以外のワインは『日本ワイン』とは名乗れないようになりました。

輸入原料を使ったワインなどは、『国内製造ワイン』という区分になりました。

『国内製造ワイン』には『日本ワイン』も含まれており、下の図のような関係ですね。


決められた区分をそれぞれ書き出すと、
 『日本ワイン』…国産ブドウを原料とし、日本国内で製造された果実酒
 『国内製造ワイン』…日本国内で製造された果実酒・甘味果実酒

となります。

また、日本ワインだけが表ラベルに『ブドウ品種(100%の場合)名』、『産地名』が記載できる、と決められました。




国内製造ワイン

せっかくなので、改めてどんなものが『国内製造ワイン』の区分に入るか具体的に見てみましょう。

 - 輸入ブドウを使い日本で醸造したワイン

 - 輸入してきたワインを入れて日本で瓶詰めしたワイン

 - 輸入濃縮果汁を日本で水で薄め醸造したワイン

 - ブドウ以外のフルーツ(洋梨、桃など)を使い、日本で醸造したワイン

 - 国産ブドウのみを使い、日本で醸造したワイン
   (※でも、日本ワインの区分に入れるから、『日本ワイン』と名乗る)

こういったワインが国内製造ワインに含まれます。




『国産ワイン』という用語はどうなる?

では以前使われていた『国産ワイン』という用語はどうなるのでしょう?

基本、『日本ワイン』と『国内製造ワイン』という用語を使うようになるので、『国産ワイン』という用語は使わない方向です。

しかし、ルールができたのは2015年、施行されたのは2018年であり、今はまだ浸透していっている最中です。まだまだ、「日本車=国産車なんだから、日本ワイン=国産ワイン」と思われる方が多いでしょう。

また、『国内製造ワイン』というのも少し文字数の多い用語なので、『国内製造ワイン』の略語的に(※本当は略語じゃないんだけど)、『国産ワイン』という呼ばれ方が残っていく可能性も感じます。

それぞれの意味のおさらい

最後に、この3つの用語をおさらいしておくと、

『日本ワイン』
国産ブドウのみを原料とし、日本で製造されたワイン

『国内製造ワイン』
日本国内で製造されたワイン
(※原料は輸入、国産どちらも含む)

『国産ワイン』
日本国内で製造されたワイン
(現在の国内製造ワイン)
※現在もまだ使われている用語

このようになると思います。



慣れないと混同しちゃいますが、ルールが決められ、どういったワインなのか分かりやすくなったのは良い事ですね。

また今度、ワイン売り場に立ち寄られた際は、ラベルを見てみてくださいね。


投稿者

  • 山崎 久美子

    ・ソムリエエクセレンス(JSA認定)
    ・SAKE DIPLOMA(JSA認定)
    ・DIPLOMA LEVEL 3(WSET認定)

    ワインの輸入商社でバイヤー職を経て、現在は、ワインのなんでも屋をちみちみとやっている。

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公開日 :
2024/01/17
更新日 :
2024/02/15
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