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ワインを楽しむ基礎知識 2016/01/12 by 株式会社モトックス ワイン、それが気になる ~リースリングの香りとセルロイド人形~

ワインの勉強、はじめました。

お恥ずかしながら、40の手習い的に、
ワインを勉強し直しています。

自分が勉強不足だったなあ、
と思ったのが半分、
日々変化していく、ワインにまつわる
情報に追いついていく為に必要、
と思ったのが半分です。

10年前に聞いた情報は、
今じゃ誤り、なんて事もあります。

今回から書き始めたコーナー、
「ワイン、それが気になる」は、
基本的に、私が調べた事を
備忘録的に、書き留めておこう、
というものですが、
せっかく調べた事を共有できたら、
誰かの手間が省けるかしら、という
コーナーでもあります。

リースリングを比較していました   

最近は、ワインを“うはうは”と
ひたすら飲むのではなく、
(どんな飲み方だった、私?)
週の頭に2本開けて、比較をしながら
飲む事にしています。

良い子の皆さんは真似しなくていいです。

ワインにまつわる仕事をする者として、
仕事として飲んでいますので。

先日は、リースリング2本勝負を
しておりました。

片方は、オーストラリアで、もう片方は
ドイツのナーエ地方。両方とも辛口です。
ちなみに、オーストラリアの1本は、
シドニーの北西にあるオレンジG.I.で
ヴィンテージは2015。
色は薄いレモン色でした。(写真左)

ドイツは、ナーエ地方で、色は濃いめの
黄色で、ヴィンテージは2012。(写真右)

産地による品種の違いを学びたかったなら
ヴィンテージ位そろえた方が良かったの
ですが、ごめんなさい、バラバラです。

すると、オーストラリアの生産者の
ものは、ハーブやレモンを感じさせる
すっきりタイプで、ドイツの生産者の
ものは、レモン等の柑橘ベースながら、
複雑味があるタイプだったのですが、
そこに加えてオイリーな香り、つまり、
ペトロール香が感じられました。

ペトロール香。

そう、このペトロール香が、
私は気になっていたのです。

ぺトロール香ですが

まず、ペトロール香についてですが。

ペトロール香、というのを、私、
「あぶらっぽい香り」と言っていました。

うちの主人は、ワインとは何にも関係
無い人なのですが、その人に、
「あぶらっぽい香り、感じない?」
と言っているのに、通じてない事に
最近、気づきました。

話をつめていくと、どうも、『あぶら』と
言うと、彼は、『サラダ油』などの、
『調理用の油』をイメージしてしまって
いたので、「俺には、天かすのような
油の匂いなんぞ、感じないぞ。」と、
思っていた様です。

色々話して、『灯油や、ミシンにさす油』
と言ったら、やっと理解してもらいました。

確かに、ペトロール=ガソリン、石油なので、
そう言わないと、誤解されていたわけです。

話が外れていますが、ひとつのワイン表現
の単語も、共有しているつもりが、個人差で
共有できていない事もある、というのは、
忘れてはいけない点だ、と思いました。
(今回は、私が言い間違ってるか。)

ペトロール香=リースリングだと思ってきた

さて、このペトロール香ですが、10年以上
前に、ワインアドバイザーの資格を勉強
していた時は、「リースリング、イコール、
ペトロール香だから、セルロイド人形の
匂いがしたらリースリングと思いなさい。」
と、教えてもらったものでした。
今ほどネットが主でも無かったので、
はっきりとは、分かりませんが、
どうも、「リースリングの香り=
セルロイド人形」というのは、広く
言われていた様ですし、実際に、
セルロイド人形の匂いだったか、は
さておき、試験勉強の為に、試飲して
いたリースリングには、石油っぽい香り、
ペトロール香を感じていました。

本当にそうなのか?

しかしながら、最近、改めて、ネットや
本で調べていくと、どうもペトロール香は
リースリングのワイン全般に香るのでは
なく、『リースリングの、栽培時の気温が
高かったり、乾燥した環境だったりすると、
出やすい、ニューワールドに出やすい。』、
との説が多いのを確認しました。

そして、私自身、いくつか試飲しても
そうだったので、頭の中で、そう結論
付けていました。

ところが、今回試飲して、ペトロール香が
する、と思い込んでいたニューワールド
である、オーストラリアワインに
ペトロール香が無く、

ペトロール香がしない、と思っていた
ノン・ニューワールドのドイツワインに、
ペトロール香が感じられたので、
わからなくなってきた訳です。

ドイツワインのバイヤーさんに聞いてみた。

気になったので、ドイツワインの
バイヤーをしている人に
聞いてみる事にしました。

すると、下記の様な答えが返って
きました。

「リースリングはドイツの地ブドウで、
やはりドイツの気候に適した品種です。
冷涼かつ日照時間が少ないことで、
リースリングが持っているカロチノイド
(カロチン)が若いうちは作用せず、
色が薄くなりますが、熟成により
これが出てきて深い色合い、かつ
ほんのりとしたペトロール香が現れます。

日照時間が長い、気温が高い、土壌が豊か
など、栽培条件が合わないと、
若いうちからペトロール香が出て
きますが、これは本来の姿ではあり
ません。」

ここまでは、最近私が調べたのと
基本路線は同じです。

そして、下記の様な補足を加えて
くれました。

「リースリングは栽培場所を選ぶ
とても繊細な品種で、その点で
ピノ・ノワールとよく似ています。

例え冷涼な気候を選んでも、マクロ、
ミクロを含めその他の複雑なクリマの
要因が絡むため、ドイツ以外では
リースリングという品種が持つ、
本来の高貴さはまず出せないと思います。

ペトロール香に関して言えばこれは、
リースリングが本来持っている性質
ですので、ドイツのクオリティワイン
においては、熟成を経てほんのり出る
のが正しい姿とされています。

おぉ、『ほんのり出る』のが良し、という
理想像があるのですね。それは面白い。

バイヤーさんは、こう続けた。 

しかしながら、その人はこう続けます。

「しかし、さほど長熟させなくても
ドイツのリースリングでも、ペトロール香
がほんのり出るものもあります。」

なぬぬぬ?
どういうことでしょう?

「畑によって話は違っているのです。

 今回、試飲されたドイツの生産者、
テッシュのケースで説明しますが、
単一畑もので、10年熟成を経ても
わずかにしか、ペトロール香が現れない
ものもあれば、場所によっては、
数年の熟成でペトロール香が出てくる
ものなど、様々なのです。」

へええ、テロワールによって
現れ始める熟成期間も
違うのですか。

結論づけるのが難しい。

なかなか強敵です、ペトロール香。

気になって、その後も、インポーターの方、
ワイン講師の方、等、色んな方に聞いたり、
ネットで調べたりした限りですが、まだまだ
色んな情報がある気がしました。

その中で、主な意見をまとめると、
下記の様になるかな、と思います。

 -日照時間が長く、気温が高い、
水不足等の環境で栽培された
リースリング
 -高温で保管されたリースリング
 -10~20年熟成したリースリング
 -シストなど(?)、ある土壌で栽培
  されたリースリング
に、ペトロール香が現れやすい

あまりまとめられていませんが^^;
今のところは、こんな感じでは
ないでしょうか。

劣化という意見も一部、ありますが

ちなみに、色んな説の中に、ペトロール香は
劣化である、とされているものもありますが、
個人的には、ペトロール香は、
劣化というよりは、個性として捉える、
という考え方が好きです。
実際、程よいペトロール香が好きです。

しかしながら、ペトロール香のしない
リースリングの方が市場のニーズが
高そうな空気を感じます。

そして、そういった、市場のニーズにとっても
敏感な、オーストラリア等のニューワールドの
生産者は、栽培技術、醸造技術を調整
する事で、ペトロール香が少ないリースリングを
造ろうとしているのではないでしょうか。
(個人的な推測、かつ、良し悪しでは無いです)
ちなみに、今回のワイン、TESCH(テッシュ)の
ボトルにカメラを向けると、顔認識します。

ちょっと、日本の俳優さんに
似てるように、思えてきます。

余談ですが。

余談ですが、話を伺っていく中で、
「セルロイド人形本体の香りというより、
頭を取って(!)、人形の中をかいだ時
の香りだよ。」
というコメントや、

「セルロイド人形と言われているけど、
昔に比べ、人形の材質も変わって
きているもんね」
(↑えぇ~!!)
といったコメントもありました。

確かに調べてみると、随分以前から、
一部を除き、セルロイド人形は
製造されておらず、私達の身のまわりの
人形は、大抵、ソフトビニールといった
プラスチックで出来ている様です。

私は、開けてはいけない、
パンドラの箱を開けてしまった
のかもしれません。
(おおげさな...。)

あ、ワインの資格試験を受けようと
している方は、取り敢えず今は、
こういった深みに、はまりすぎないよう
気を付けてくださいね。
(↑これ結構、大事ポイントです。)
今回、私が飲んだのは、ローガン。
昨年、私に訪れたのは、老眼。

お後がよろしい様で...。

投稿者

やまくみ

やまくみ

ワインの輸入商社にて、バイヤーを担当。
退社後、現在は、気楽に楽しめるワイン道を、
日々、飲みながら考えている。