慣れない方も安心してスパークリングワインを開けるコツをお教えいたします!
年末も差し迫ってきました。
クリスマス、お正月、等なにかと行事が続きますね。
友人や家族とささやかに集まったり、今年1年の自分へのねぎらいを、という時に、ちょっと特別な飲み物として、スパークリングワインを開ける人も多くなるのではないでしょうか。
スパークリングワインを開けるというのは、慣れている人にとっては何でもない事ですが、慣れていない人にはちょっとドキドキする作業です。ワイン業界で働き始めた頃は私も苦手でした。
そんな方に、安心してスパークリングワインを開けるコツをお教えしたいと思います。
噴き出さないようスパークリングワインを開ける為にまず大事なのは、直前にボトルを激しく動かさない事です。
『自転車で友達の家に持っていってその日に開ける』とか、『昼間にお店で買って来て、ぶらぶら持ち帰り、晩に急いで冷やして飲む』とかは、開けた時に噴き出す可能性を高めます。
噴き出す可能性を下げるには、前日には冷蔵庫や冷暗所に置いておくのが理想です。
冷蔵庫に入れる際も、激しく何度も扉を開閉されるご家庭は扉側に入れない方が無難ですね。
しかしながら、直前に買わざるを得なかった際や、その日に持っていく必要がある際は、極力揺らさないよう丁寧に移動させましょう。キャリーケースの中に入れるよりは肩掛けカバンに入れる方がベター、とかそういう事です。そして、開ける際は、噴き出す可能性の為に、ボトルの下にタオルをひいたり、台所のシンクの横で開ける、など、配慮をすると良いでしょう。
科学的なロジックは割愛しますが、スパークリングワインは液体の温度が低い方が、泡の立ち上がりが穏やかです。缶を開けると泡が出来上がるビールがありますが、あの缶のビールが、温度が低すぎると泡の出が悪かったのと同じ現象ですね。
ですので、やはり前日にボトルを冷蔵庫に入れておくのが一番。出来なければ、開ける数時間前には冷蔵庫に。もしくは、氷と水を入れた容器に肩まで沈めて1時間程度、しっかり冷やしましょう。
スパークリングワインをしっかり冷やすのには、味わいの為だけでなく、泡を落ち着かせる、という目的もあるのです。
さて、ボトルを開ける段階に移りましょう。
まずは、栓を覆っているフォイルやビニールの上部を剥がしましょう。大抵、剝き始める所が分かるようになっていますが、分らなければ、全部剥がしてしまってもいいでしょう。(※筆者は若干雑な人です)
その後に、30㎝四方ぐらいの、布巾をボトルの頭に被せます。
この時、厚手の布巾やタオルを2重などにしてしまうと、留め金を扱いにくくなりますので、薄手の布巾やタオルを1重で使う方がやりやすいです。
利き手で無い方の手で布巾の上からボトルの頭を包み込むように抑えながら、布巾の下に利き手を差し入れ、留め金の針金をくりくりとねじりほどきます。この時、ねじねじをほどいた針金は取り外してしまわずに、そのままに。
※この後コルクを抜く時に、針金が滑り止め的な役割も担ってくれます。
↓針金をほどいたら、布巾でおさえたまま、続けて次の作業を続けましょう。
布巾と手を放してしまうと、コルク栓が飛び出してしまう可能性があります。
次にコルク栓を外す作業に移ります。
余裕がある方は、下の写真のように、ボトルを持ちながら外すのがスマートなのですが、
自信が無い方や、握力が弱いと思われる方は、机や台の上にボトルを置いたまま開けちゃいましょう。
↓こんな感じに机の上に置いて、利き手でボトルの側面上部辺りや、首の細くなった部分を持ち、もう片方の手で布巾の上からコルクと針金を握ります。
※ボトルをおさえる手は、持ちやすい部分に置くと良いです。
そして、コルク、針金、を布巾で握ったまま回していきます。ひたすら1方向に回すより、右左、右左と回すのがやりやすいです。『抜く』というより、『おさえながら回す』というイメージです。
回していると、気圧でコルクが少しずつ上がってきますので、そのまま布巾ごとコルクと針金を握りながら取り外します。
この時、個体差ですが、勢いよくコルクが上がってくる事もありますので、勢いに負けて手をうっかり外してしまわないようにしてくださいね。
ボトルを持ち上げて開ける方法はスマートですが、手の小さい人や、料理していた手に油成分が残っていたりするとボトルの底を片手で持つのが怖いんですよね。実際私は、慣れない頃に、コルクでは無くボトルの方を、床に飛ばしてしまった事があります。
今、ボトルを立てた状態で開けましたが、コルクと針金を取り除く事が出来たら、その直後は、しばらくボトルを斜め45度程度に傾けておきます。そうする事で、空気に触れる液面が広くなるから噴き出しにくくなります。
噴き出してこないのを確認したら、これで完了です。
もちろん、個別差で、傾けなくても噴き出さない場合もあれば、傾けてもちょっと吹き出てしまう場合もあります。それでも噴き出してしまう際は、別の布巾やタオルを瓶口付近に寄せて、こぼれるのをキャッチしましょう。
プロの場合、開ける際の所作はスマートに、音が余り出ないように、等要求されますが、個人で開けられている際は、安全にだけ気を付けて、後は気楽にいきましょう。生産者の人達も、気にせず、『すっぽん』と音を鳴らして開けていたりします。
どうでしょうか?スパークリングワインを開けるのに自信が持てたよ!楽になったよ!という方が一人でも増えたらうれしいです。
・ソムリエエクセレンス(JSA認定)
・SAKE DIPLOMA(JSA認定)
・DIPLOMA LEVEL3(WSET認定)
ワインの輸入商社にて、バイヤーを経験。
退社後の現在は、ワインのなんでも屋をちみちみとやっている。