音感が似ていたりして混同しがちな用語ってありますね。一度理解したのに、しばらくたつとまた分からなくなっちゃう。
そんな用語たちを解説してみたいと思います。
『ハウスワイン』というのは、レストランなどの飲食店で使われる用語で、そのお店の『いちおしワイン』や、『看板メニュー的な存在のワイン』という意味です。
価格は比較的リーズナブル、比較的飲みやすいスタイルである事が多いです。
ワインを取り扱う店、全てが用意している訳ではありませんが、お店の飲み物のメニューやワインリストに載せられていたりします。
お店としては、自分達のお店の料理の味に合わせやすいワインをお薦めする事が出来るのがこのハウスワイン。
そして、お客様としては、どのワインを頼んだらよいのか分からない時に、とりあえずセレクト、という事が出来ます。
また、ハウスワインと打ち出す事で、比較的販売数が多くなり、まとめて仕入れる事が出来、価格もリーズナブルにする事が出来たりする、という良さもありますね。
リストには『ハウスワイン』とだけ単純に記載してある事もあれば、『ハウスワイン + 品種名』や、『ハウスワイン + 具体的な商品名』で書かれている事もあり、様々です。以前よりも具体的に品種や産地などの情報が書かれている事が増えた気はします。
『グラスワイン』というのは、グラス1杯の分量で注文が出来るワインの事です。
1人であったり、人数が少ないと、750ml入っているボトルで頼むと量が多かったり、種類が飲めなかったりするので、概ね120ml前後入っているグラスワインは、気楽に注文が出来ますね。(※時々ビックリする位もりもりな事もありますが。)
アルコールでの話をすると、ワインはアルコールが13%位、ビールは5〜6%のものが多いので、大体生小のビールとグラスワインがアルコール換算的には同じぐらいです。
リストには『グラスワイン』というコーナーがあり、いくつかワイン名が並んでいる場合と、ワイン名が普通に並んでいる所に、『ボトル 〇〇円 / グラス 〇〇円』というように書かれている場合とがあります。
そういった訳で、『ハウスワイン』とは、お店のいちおしワインで、『グラスワイン』とは、グラス1杯で注文出来るワインという事ですから、『ハウスワインのグラスワイン』は、『グラス1杯で注文出来るお店のいちおしワイン』という意味ですね。
『テーブルワイン』という用語は、簡単に言うと、『低価格の気軽に飲めるワイン』という意味です。『デイリーワイン』とも言い換えられますね。
しかし、厳密にはニュアンス的にもう2つ意味があります。
ひとつめが、『フランス、イタリア、スペインなどEUでの品質分類のひとつで、産地を名乗らなくて良い、地理的表示義務の無いワインの事』です。
この意味でのテーブルワインはフランスでは『ヴァン・ド・ターブル』、イタリアでは『ヴィーノ・ダ・ターヴォラ』などと呼ばれていた分類です。
ただし、2009年にワイン法の改正があり、その後はこの分類のワインは、フランスでは『ヴァン・ド・フランス』、イタリアでは『ヴィーノ』などと呼ばれるように変わりました。
結局はこの品質分類のワインは、『低価格の気楽に飲めるワイン』のものが多かったので、似た感じの意味なのですが、なんとなくカジュアルなワインを指しているのか、この分類のワインを指しているのか、の違いですね。この違いへの認識が必要となってくるのはワイン業界内です。
最後が、『食前酒や食後酒に対して食中に飲むタイプのワイン』という意味です。ただし、この意味合いで使われる事は少ない気がします。
以上、3つの似たように見えてちょっと違う用語を解説してみました。
簡単にまとめると、
『ハウスワイン』…お店のいちおしワイン
『グラスワイン』…グラス1杯分で注文出来るワイン
『テーブルワイン』…低価格の気楽に飲めるワイン
という感じです。
ハウスワインにテーブルワインが採用されていたり、ハウスワインはグラスワインで飲める事が多かったりするから、やっぱり混同してきますね。
・ソムリエエクセレンス(JSA認定)
・SAKE DIPLOMA(JSA認定)
・DIPLOMA LEVEL 3(WSET認定)
ワインの輸入商社でバイヤー職を経て、現在は、ワインのなんでも屋をちみちみとやっている。