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パリの高級ホテルにあるレストラン「Le Cinq」(後編)
パリの高級ホテル「Four Seasons」。ここに入っている3つ星レストラン『Le Cinq』のレポートです。
by 株式会社モトックス
最終更新日:2017-01-19
いよいよメインディッシュ
ここからはメインディッシュが順番に登場していきます。
強烈な磯の香り爆弾の貝柱・ウニの冷菜、テクニカルな玉ねぎとそれに合わせたヴィンテージ・マディラに続き・・・
ヒラメのプランチャ(鉄板焼きとでも言えばいいのかしら)
表面だけサッと焼いたヒラメの身はとても繊細で、火が入り過ぎたときの硬さがありません。フィッシュスプーンを魚に置く瞬間に少し押さえると、身が離れるくらいのキュイッソン!身の弾力性を感じながら、若干の苦味を感じるクレソンのソース、日本の梨もピュレにして添えられていますが、甘みと酸味の味わいのバランスはヴィネガーで見事に計算されていました。
何か他の甘みを感じたので尋ねたら、「味噌が使われている」と教えてくれました。西京味噌だったのかしら?「言われてみれば、それっぽい味もするけれど・・・」と、考えながらいろいろと混ぜたり、単体で食べたりしていましたが、その隣に添えられているのは、「湯葉」??
な、な、なんと・・・ 食べると本当に湯葉でした(笑)。
なんで、ここはおフランスの3つ星なのに・・・湯葉!?シェフはたしか今年の夏に京都に行ってたから、さては・・・!?と想像しながら、魚料理を食べ終わると同時に白ワインが空く・・・
ソムリエがテーブルに近づいてきて、「赤ワインを召し上がりますよね?次のお料理はオーストラリア産のブラック・マーケットの牛フィレなので、定番と言えば定番ですが、
サン・ジュリアンなどをお勧めしたいところですが・・・」
「もしくはシャトーヌフ・デュ・パプとか・・・あ、そのお顔はそれ以外、ということですね(笑)。少し考えさせてください」
と言い残してテーブルを一旦離れます。「北ローヌのコート・ロティとか、久々に飲みたいなぁ、出てこないかなぁ・・・でもお幾らウーホなのかしら」などと、色々と考えていたところ・・・
ま、まさか・・・ジャメのコート・ロティ2013年が出てくるんですよ!私、なんて強運を持っているんだろう、と心の中でガッツポーズ(笑)
もうそのワインがグラスに注がれた瞬間には、伝票につく金額も、現実逃避しています(爆)
2013年は確かに骨格は弱いですが、これがジビエ類のお料理なら2011年や2007年を選ぶでしょうけど、牛フィレならちょうど良い感じ。野生的で還元臭プンプンのシラーとは、全くの無縁です。
オーストラリア産 ブラック・マーケット 牛フィレ肉
オーストラリアのサシが入った牛フィレのキュイッソンは完璧。中にはトリュフが隠れていて、上に乗っかっている白いものは、マッシュルームの薄切り。周りを囲む白いものはモッツァレラチーズ。しかし黒トリュフ・・・ちょっと入りすぎ・・・(笑)。
アヴァン・デセールは、乳性のジヴレ。
ジヴレって何と表現したらいいんでしょうか。
結晶ではなくて、霜でもなくて、霧氷のことをいうのですが、テクスチャーは羽のように軽く、限りなく儚く、甘さがない。のに『完成』された、不思議なデザート。
グレープフルーツ(クロッカン)
飴状にカリッとしたテクスチャーのグレープフルーツのカラメルの下に、同じくグレープフルーツのソルベ、下には生の果肉、底はジュレになっているのですが、グレープフルーツ特有の苦味、果実のフレッシュさを感じるとても軽いデザート!
ショコラのエコルス(「樹の皮」を意味するお菓子)
薄めのショコラ味に仕上げたパルフェ(卵黄に砂糖やホイップクリームを加えた氷菓)に、ヘーゼルナッツ、カカオ豆、カランバー(棒状のキャラメル)、添えられた白いアイスのようなものは、砂糖の入っていないクレーム・シャンティ(泡立てた生クリームのお菓子)。
一回柑橘系を出してきて、清涼感を出したあとに、濃厚ショコラのデザートに行くんですよね。考えられてますわ。やっぱ!
ミニャルディーズ(「最後の小菓子」の意)
ミニャルディーズはお皿で出てきた後にも、ワゴンサービスでショコラ、ギモーヴ(マシュマロ)、キャラメルなど盛りだくさん・・・
その時に衝撃的なドドメのデザートが出てきて、声がでませんでした・・・
これ、ミニャルディーズで出てくるものではないと思うのですが・・・。ま、まさかの「クイニー・アマン」ですよ!!!
(普通、こんなもの最後に出すか??って思いますけど・・・でも美味!)
クイニー・アマンとは、ブルターニュの伝統菓子のひとつで、塩バターをこれでもか!というくらいブリオッシュ生地に練り込み、お砂糖をドカっと入れてしまい、表面にもまぶしたお砂糖がカリッとするように焼き上げた伝統菓子?菓子パン?です。いずれにせよ「カロリー爆弾」ということです。
メートル(給仕)に、「あ、あの・・・ミニャルディーズの後に、これですか・・・?さすがに・・・ちょっと厳しいかも・・・」というと、
「シェフはブルターニュ出身。彼にとってのもう一つのスペシャリテなのですよ」と言われ、しばらく躊躇してましたが、観念して1個攻撃!!すると紙袋を持ったメートルが現れて、「マダム、今はお腹がいっぱいかもしれませんが、よろしければ夜食か朝食にどうぞ。包装しておきました!」と、生キャラメルの詰め合わせと包装されたクイニー・アマンが3個、紙袋の中に入っていました(笑)。
ディナーが終わった後、ちょっとパンを食べ過ぎてしまったのは後悔しましたが、ガストロノミーレストランでの最高のディナーとなりました!
ここ、『ル・サンク』や『アレノ』もそうでしたが、ワインのプロが見た感じではオンリスト価格はそれほど高くありません。むしろ、レアワインやバック・ヴィンテージを上手に探せます。
週末の予約は、2ヶ月前が確実と思います。特別なディナーの際には、是非!
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