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『レゼルヴ』ってワインの名前に入っている時があるけど、どういう意味?国によって意味が違うの?
ワイン名に時々、『レゼルヴ』と、入っている時がありますが、どういう意味なのでしょうか? また、国によって意味合いが違うそうですが、どういうことなのでしょうか?
by Wine-Link
最終更新日:2024-05-07
目次
『レゼルヴ』とは、『熟成された』という意味
ワインの名前の中に時々登場する、『リゼルヴァ Riserva』、『レセルバ Reserva』、『レゼルヴRéserve』などの言葉。
英語の『Reserve(リザーヴ)」にあたる単語で、一般的には「貯蔵する」、「キープする」などの意味合いで使われますが、ワイン用語になると、どういう意味になるのでしょうか。(※以降、代表して『レゼルヴ』と書きます)
『レゼルヴ』はワイン用語の場合、基本、『ワインが通常より長く熟成された』という意味になるのですが、国によって意味合いが違ったり、記載する為の規定の違いもあったりします。
今回は、いくつかの国のケースを挙げながら、まとめてみたいと思います。
まず、その『熟成させる』にはどんなパターンがある?
まず、『ワインを熟成させる』にも大きく分けて4パターンがあります。
① 瓶詰めされる前に樽(小樽~大樽)で熟成させる
② 瓶詰めされる前にステンレスタンクや、コンクリートタンクで熟成させる
③ 瓶に詰めてから、瓶の状態で熟成させる
(①~③は生産者が行う熟成)
+
④ 業者や消費者が手に入れてから、瓶の状態で熟成させる(保存しておく)
商品名に入っているので、今回は、①~③の話になります。
ちなみに、スパークリングワインは外して、今回の話は進めます。
『レゼルヴ』の規定が決まっている国
『レゼルヴ』と表記するのに規定がしっかり決まっている国と、そうでない国があります。
まずは、『レゼルヴ』と表記するのに規定がしっかりある国を見ていきます。
代表的例として、スペイン、イタリアとアルゼンチンを見てみます。
スペインの『レセルバ』
スペインでは、『レセルバ Reserva 』と呼ばれ、ワイン法で定めた最低期間以上熟成されたワインを表します。
原産地呼称ワインに分類され、330リットル以内のオーク樽で熟成させたワインに限って表記が認められており、更に、赤ワインと白・ロゼワインでは最低熟成期間が異なります。
具体的な規定は次の通りです。
・赤ワイン:最低熟成期間3年で、最低1年はオーク樽で熟成すること
・白、ロゼワイン:最低熟成期間2年で、最低6カ月はオーク樽で熟成すること
更に熟成期間が長いものに、『グラン・レセルバ Gran Reserva』という表記が出来るのですが、これを名乗るためには、次の条件をクリアすることが必要です。
・赤ワイン:最低熟成期間5年で、最低18カ月はオーク樽で熟成させること
・白、ロゼワイン:最低熟成期間4年で、最低6カ月は樽で熟成すること
ちなみに、『レセルバ』より熟成期間の短いものに、『クリアンサ Crianza』という表記が出来ます。
・赤ワイン:最低熟成期間2年で、最低6カ月はオーク樽で熟成すること
・白、ロゼワイン:最低熟成期間18カ月で、最低6カ月はオーク樽で熟成すること
『グラン・レセルバ』、『クリアンサ』も、『レセルバ』の仲間なんですね。
写真:リオハのボデガ、ウガルテの地下セラー
イタリアの『リゼルヴァ』
イタリアでは、『リゼルヴァ Riserva』と呼ばれ、ワイン法によって、最低熟成期間が定められています。
その最低熟成期間というのは、国で一律に決められているのではなく、各産地で規定が違います。
例えば、バローロが3年以上の熟成が必要なのに対して、バローロ・リゼルヴァは5年以上の熟成、かつ、アルコールは13%以上であることが義務付けられています。
それに対し、キアンティは、収穫の翌年3月から消費が可能(収穫の年の年末位から熟成に入りますから、実質、最低熟成期間は3カ月前後でしょうか)ですが、キアンティ・リゼルヴァになると、最低熟成期間は2年(うち、木樽熟成6カ月を含む)です。
写真:キアンティを熟成させる大樽
イタリアで『リゼルヴァ』と書いていたら、長く熟成されたもの、と規定があるのですが、その期間がどの位か、となると、産地によってまちまちなんですね。
加えて、『リゼルヴァ』と名前に付かなくても、結構長く熟成させているワインもあるんですね。
アルゼンチンの『レセルバ』
アルゼンチンでは、『レセルバ Reserva』と表記されますが、ここも記載するにはワイン法で規定されています。
表記するには、赤ワインはオークにて12カ月以上、白ワインは6カ月熟成が必要です。
また、『グラン・レセルバ Gran Reserva』という表記もあり、少し長くなり、赤ワインはオークにて24カ月以上、白ワインは12カ月以上熟成が必要です。
以上、スペイン、イタリア、アルゼンチンを見てきました。
他にこういった『レゼルヴ』を表記する為の規定がある国としては、ブルガリア、ルーマニアが挙げられますが、きちっと規定で決まっている国の方が少数ですね。
熟成についてで無い『レゼルヴ』の規定のある国
一方、『レゼルヴ』という名称が使われていて、かつ、名乗るのに規定があるのだけれど、熟成についてでは無い点での規定がある国があります。
どういうことでしょう?
例として、ポルトガル、チリを見てみましょう。
ポルトガルの『レゼルヴァ』
ポルトガルは、『レゼルヴァ Reserva』という規定がありますが、熟成期間について条件がある規定ではありません。
D.O.C.ワインに使われる表記なのですが、『アルコール度数が法定最低度数よりも0.5%以上高いこと、ガラス瓶に詰められていること、官能検査を通過する、などの条件を満たしたワイン』というのが、『レゼルヴァ』と名乗る為の条件です。
チリの『レセルバ』
チリにはD.O.ワインに対して、『レセルバ Reserva』という規定があります。
しかし、ポルトガルと似て、『アルコール度数が法定最低アルコール度数よりも少なくとも0.5%以上高く、独自の香味があり樽熟成したワイン』というのが、『レセルバ』と名乗る為の条件です。
加えて、『グラン・レセルバ Gran Reserva』という規定もありますが、こちらも、似た感じで、『アルコール度数が法定最低アルコール度数よりも少なくとも1%以上高く独自の香味があり樽熟成したワイン』という条件です。
ただ、これらの『レゼルヴァ』は、熟成と全く関係が無い訳では無いと思います。
規定としては、『より長く熟成したワイン』に名前が付けられている訳では無いけれども、『少しアルコールの高いワイン』ですから、実質はスタンダードなワインよりも力強いことが多く、すなわち、長く熟成されている事も多いとは思います。
『レゼルヴ』と名乗るのが自由な国
それに対し、『レゼルヴ』という言葉を自由に用いることができる国は、アメリカ、オーストラリア、日本などです。
『レゼルヴ』と名乗るのに規定は無く、使い方は生産者に任されています。
これらの国は、法的な規定こそありませんが、もちろん、スタンダードクラスのワインよりも長く熟成させたり、新樽を使っている比率が高いワインに、『レゼルヴ』という単語が用いられることは多いようです。
ワインの伝統国、フランスは?
そう言えば、ワインの銘醸地、フランスはどうなのでしょうか?
フランスは、実は、『レゼルヴ』という表記がされる事も少ないですし、規定もありません。(※シャンパーニュを除く)
フランスのどの地方で考えてみても、大抵がワインのグレードが上がるにしたがって、本当は、『レゼルヴ(=長く熟成)』されていますが、あえて記載する必要は無し、としている感じですね。
一部の低価格帯のカジュアルなワインで、熟成させているのをアピールする為、『レゼルヴ』と記載しているものを見る事はあります。
写真:ボルドー地方、シャトー・ディッサンの小樽
まとめ
以上、国によって意味合いが異なる『レゼルヴ』を、見てみました。
一般的に、価格帯が上になると、特に赤は、『レゼルヴ』されている事が多いですが、規定で最低熟成期間が決まっていると、好みのワインを探す際の参考になったりしますね。
また、時間の余裕があったら、イタリアなどの同じ生産者の造る、スタンダードワインとリゼルヴァのワインを飲み比べてみると面白いと思います。
ちなみに、トップの画像は、フランス、ボルドー地方のシャトー・コス・デストゥルネルのセラーの写真です。来訪者を意識した、洗練されたデザインです。
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