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フレンチオークとアメリカンオークの違いは?
ワインに使われる樽の材料として、『フレンチオーク』、『アメリカンオーク』と聞く事がありますが、この二つはどんなもので、何が違うのでしょう。簡単にまとめてみたいと思います。
by Wine-Link
最終更新日:2022-11-25
樽の材料
ワインの醗酵、熟成の際に様々な容器が使われますがそのひとつに『樽』があります。樽は『木樽』とも呼ばれるように木で出来ています。ワインショップやワインバーの店先にディスプレイやテーブルとして置かれているのを見た事があるかもしれません。
樽に使われている木としては、オークがほとんどです。(たまに、アカシアで出来た樽は聞きます。)
オークというのはブナ科コナラ属の総称であり、その中のひとつである常緑樹の『樫(かし)』と訳される事も多いのですが、厳密にはオーク樽に使われているのは落葉樹の『楢(なら)』です。
樫(かし)や楢(なら)などのブナ科の木はどんぐりが実る木としても馴染みが深いですね。
アメリカンオークとフレンチオーク
さてワインの樽に使われるオークですが、『フレンチオーク』と『アメリカンオーク』という種類が存在します。
フレンチオークの樽はフランスで製造されたのもので、アメリカンオークの樽はアメリカで製造されたものだ、という説明も聞きますが、正しくは少し違います。
フレンチオークとは
まず、フレンチオークについてみてみましょう。
フレンチオークというのは、『フランスで生育する種のオーク』の事を指します。
この『フランスで生育する種』というのは、セシル・オーク(Quercus Petraea)、 ペドンキュラータ・オーク(Quercus Robur)という種なのですが、どちらもヨーロッパに自生している種です。
ですので、フレンチオークの樽というのは、『フランスで生育する種のオークを材料とした樽』の事です。
フランスの中でも代表的な産地は、トロンセ、アリエ、リムーザンなどで、いずれもフランス中央部に位置しています。ちなみに、トロンセのエリアはアリエのエリアに含まれています。(←アリエのエリア、ってちょっとややこしいな。)
フレンチオークの特徴
では、フレンチオークの樽はどんな特徴なのでしょうか。
フレンチオークはタンニン分が多くヴァニラ香やココナッツ香の由来となる成分が控えめで、フレンチオークの樽で熟成させたワインは、樽の作用による香りが控えめである、と言われています。
また、材料のセシル・オーク、ペドンキュラータ・オークは、多孔である為、斧で割って板を切り出す事が多いので労力がかかる点や、木の中心から放射線状に板を切り出す為切り出せる量も少ない点から、樽の値段が高い傾向にあります。
写真:マルゴーのように自社で樽を造る生産者もいる
アメリカンオークとは
続いてアメリカンオークをみていきましょう。
『アメリカンオーク』というのは、『北米で生育する種のオーク』の事を指します。
この『北米で生育する種』というのはホワイト・オーク(Quercus Alba)という種です。
ですので、アメリカンオークの樽というのは、『ホワイト・オークを材料とした樽』の事です。
アメリカンオークの特徴
では、アメリカンオークの樽はどんな特徴なのでしょうか?
アメリカンオークはタンニン分が少な目で、ヴァニラ香のもととなるヴァニリンやココナッツ香のもととなるオークラクトンという成分が多めであり、アメリカンオークの樽で熟成させたワインは、樽の作用によるヴァニラやココナッツ、タバコなどの香りが強くつきやすいと言われています。
また、ホワイト・オークはゴム状の化合物が多く含まれる為、ノコギリで切り出すので効率が良い点や、木の側面から見て水平に切り出していくので量も多く切り出せる点から、樽の値段が安くなる傾向にあります。
他の地方で造られたら?
余談的ですが、フランスではなく他国で生育されたセシル・オークとペドンキュラータ・オークを使って造ってもフレンチオークの樽となり、アメリカではなく他国で生育されたホワイト・オークを使って造ってもアメリカンオークの樽となる理論のはずですが、その辺は少し曖昧な気がします。
ヨーロッパのオーク材の産地として、他にハンガリーやクロアチアのスラヴォニアなどがあり、それらの産地でもフレンチオークと同じ種が使われていますが(全てかどうかは不明)、ハンガリアンオーク、ハンガリー産オーク、スラヴォニアンオーク、スラヴォニア産オークという名でカテゴライズされる事が多いようです。
写真:キアンティ地方ではスラヴォ二アンオークがしばし使われている
まとめ
まとめると、フレンチオークの方が樽の効果が控えめで、アメリカンオークの方が樽の効果が出やすい傾向にあるようです。
フレンチオーク、アメリカンオークのどちらを使うか、というのはどういったスタイルのワインが造りたいか、品種にはどっちのタイプが合っているのか、によって選ばれる事が多いです。フレンチオークとアメリカンオークを両方使う場合もあります。
また、別の機会に触れたいと思いますが、どちらのオークを使っているか、という事だけでなく、それぞれの樽の焼き具合、サイズ等によってもワインの味わいは変わってきます。
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