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イタリア シチーリア
パッソピッシャーロ
偉大なブルゴーニュワインを彷彿させる美しきワイン
- Via Val d'Orcia, 15 53047 Sarteano( SI ), ITALY
「鬼才」と呼ばれる男、アンドレア・フランケッティ
シュヴァル・ブランに感銘を受け、自らトスカーナでワイン造りを始めたアンドレア・フランケッティ氏は、今ではイタリアを代表する生産者。例えば収穫時、すべてのブドウを完璧な状態にするに、収穫の回数を30~40回に分けたり、収量も1haあたり15~25hlに抑えたり、鬼才っぷりが光ります。最高の条件がそろった土地から最高のワインを生む秘訣はフランケッティ氏自身にあったのです。
『シチーリアのピノ・ノワール』の正体
シチーリア東部、標高3,300mを超えるエトナ山から生まれる地品種、ネレッロ・マスカレーゼ。初めて飲む人も、熟練のテイスターもその見た目と味わいに、ブルゴーニュのピノ・ノワールを連想せずにはいられません。遺伝的にはサンジョヴェーゼが親品種であることがわかっていますが、エトナ山の麓から生まれるこのブドウからはピノ・ノワールを彷彿とさせる繊細さ、上品さ、そしてエレガンスが感じられます。「しかし、これらの特徴を生み出すには標高約600m以上の条件が必要です」と醸造家のアンドレア・フランケッティ氏は言います。パッソピッシャーロが醸す高貴さの魅力にはどこに由来するのでしょうか。
エトナ山がもたらすメリット
① エトナ山頂の8月の平均最高気温は11℃。ここから吹き下す風がシチーリアの太陽からブドウを守ります。ブドウは非常にゆっくり成熟し、収穫は11月頃。長い時間をかけてフェノール熟成が進み、ブドウは高い酸とほどよい糖度、そして豊かなフェノール分を蓄えることができるのです。
② かつての小作人制度が廃れた上、その後の国際品種需要拡大に伴い、1960年代以降エトナ周辺の畑は忘れ去られることになります。しかし2000年に入り、フランケッティ氏はこの手つかずの土地に古木を「発見」します。捨てられたエトナ故の貴重な樹がそこには存在していたのです。現在では樹齢100年にもなる古木から、緻密な複雑味を生むワインが生まれます。
エトナで確立したエレガントスタイル
フランケッティ氏がエトナの地に古木を見つけワインを造り始めた当時、ネレッロ・マスカレーゼのエレガントワイン、という概念は確立されていないことはおろか、実践している人もいませんでした。フランケッティ氏は様々な手法を試し、エトナのテロワールとネレッロ・マスカレーゼの個性が最も美しく表現されるワインを模索し続けました。その結果、大樽を使い、ブルゴーニュワインのように醸造することこそが最善の手法であるという結論に至りました。苦悩の末たどり着いたのが現在のパッソピッシャーロの姿なのです。
また、当時植えられてなかったシャルドネにも可能性を感じ、フランスの知人から苗木を調達しエトナの地に植樹。ネレッロ・マスカレーゼ同様、ブルゴーニュワインのように醸造することで、エトナというテロワールの圧倒的なポテンシャルを世に知らしめたのでした。
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