2022-08-01

イタリアで使われるブドウ品種

イタリアは州ごとに固有の文化を有しており、ワイン造りに使われるブドウ品種も州によって多種多様な国なのですが、その中でも、代表的なブドウ品種を紹介したいと思います。

イタリアは地理的に南北に細長い国であり、北と南で気候の差があります。

そのため、それぞれ、気候に適したブドウ品種が違うのですが、加えて、イタリアが統一されたのは1861年と、200年ほど前の事であり、長い間、それぞれの州や地域で文化が発展してきた、というのも、様々な品種が栽培されている背景にあります。


また、同じ品種でも、長く離れた地で栽培され続けた結果、亜種として扱われる違いが出て来たり、似た名前を付けて別品種として扱われるようになったり、という、若干ややこしいケースも多く見受けられます。





イタリアで生産量第一位の黒ブドウ品種はなんと言っても『サンジョヴェーゼ』です。

知名度でも一位ではないでしょうか。造られるワインは濃いルビー色をしており、赤系の果実味と豊かな酸味が特徴です。


銘醸地トスカーナ州を中心に栽培されていますが、トスカーナ内の地域によって、ブルネッロ、プルニョーロ・ジェンティーレ、モレッリーノ、など様々な名前で呼ばれています。

トスカーナ以外ではフランス領のコルス(コルシカ島)でもニエルッキオという名前で栽培されており、コルス最大の生産量です。また、イタリア以外ではアメリカやオーストラリアなどでも栽培されています。

使用されているワインとしては、トスカーナ州の銘酒『キアンティ』が代表銘柄です。カジュアルワインから偉大なるワインにまで幅広く使われており、単一で使われることも、ブレンドされることもあります。

北イタリア、ピエモンテ州を代表する高貴な黒ブドウ品種、『ネッビオーロ』。

ピエモンテ州以外に、隣のロンバルディア州などでも栽培されています。酸味がしっかりとしていて、アルコール度数の高い長期熟成型のワインとなります。


霧(ネッビア)が出る秋深い時期まで収穫を待たなければならないほど、熟すのに時間がかかるためこの名前がついたと言われています。つまり、晩熟タイプのブドウ品種です。

イタリア内でも地域によっては、スパンナ、キアヴェンナスカというシノニムで呼ばれています。

使用されている代表銘柄は、イタリアワインの王と賞される「バローロ」や、女王「バルバレスコ」が有名です。価格がやや上のワインに使われており、あまりカジュアルなワインには使われない品種です。

イタリア南部で主に栽培されている黒ブドウ品種、『モンテプルチアーノ』。

イタリアの黒ブドウ品種で生産量第二位です(2015年データ)。果皮の色は濃く、力強いワインを造ります。


使用されている代表銘柄は、アブルッツォ州の「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ」。力強い果実味で人気のワインです。比較的、手頃な価格帯の、親しみやすいタイプが造られることが多いです。

ちなみに、トスカーナ州に赤ワイン、「ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ」がありますが、こちらのモンテプルチアーノは、ブドウ品種名ではなく地名なので混同しないように注意が必要です。←言うと余計混同するかもしれない(笑)?


『バルベーラ』は、北イタリア、ピエモンテ州で主に栽培されるブドウ品種です。

先ほど紹介したネッビオーロより早く収穫でき、酸味が高く、果実味豊かで、タンニンの少ないワインができます。ピエモンテ州に次いで、ロンバルディア州で多く栽培されています。

使用されるワインとしては、「バルベーラ・ダルバ」や「バルベーラ・ダスティ」といった銘柄が有名です。地元では高級品種、ネッビオーロ種に次いで高級な黒ブドウ品種です。


今まで紹介して来た4品種は、イタリアの土着品種ですが、国際品種である『メルロー』もイタリアでは広く栽培されており、代表的な品種です。

メルローからは、酸味やタンニンが穏やかで、まろやかなスタイルのワインができます。

イタリアほぼ全域で栽培されており、単一でも、ブレンドでも使われ、高級なワインからカジュアルなものまで幅広くあります。スヴェレートなどのように、メルローが使用品種として含まれたD.O.C.G.もあります。

『グレーラ』という白ブドウ品種は、その多くがプロセッコを造るのに使われています。

その他ではあまり使われないのに、プロセッコの生産量が多いため、白ブドウの中での栽培量はトップです(2015年データ)。


白桃や白い花のアロマがあり、ほのかな苦みを持つワインが造られる品種です。

プロセッコの生産地、ヴェネト州とフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州以外では、シチーリア州で少し栽培されています。他の州や、他の国ではあまり使われていません。

もともと、この『グレーラ』というブドウ品種は、『プロセッコ』と呼ばれていました。しかし、原産地呼称として認められた『プロセッコ』を造る生産者達は、使っているブドウ品種が同名のままでは、世界各地でワイン名にプロセッコと表記がついた銘柄が造られるのを避けるために品種名をプロセッコから『グレーラ』に変更した、と言われています。

イタリアの白ブドウの生産量として上位に入る『ピノ・グリージョ』は、『ピノ・グリ』としても知られる国際品種です。


皮が薄い灰色がかった紫色の品種で、ピノ・ノワールの変異種と言われています。フルーティーで少し塩味を感じる、ボディのしっかりとした白ワインが造られます。

イタリアでは、ロンバルディア州やフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州などの北部を中心に栽培されており、もともとは赤ワインのブレンドやロゼワインが造られていたのですが、白ワインを造ってみた所、そのフルーティーでボディのしっかりとしたスタイルに人気が出て、栽培が広がりました。

『トレッビアーノ』は、イタリアの白ブドウ生産量として上位に入るブドウ品種です。

多くの州で栽培されているのですが、厳密には『トレッビアーノ・トスカーノ』や、『トレッビアーノ・ロマニョーロ』などの8つ程の亜種に分かれています。


イタリア以外でも栽培はされており、フランスでは、ユニ・ブランや、サン・テミリオンという名前で栽培されています。

フレッシュな味わいで早飲みワインに適したブドウ品種であり、どちらかというとカジュアルなワインに使われることが多いようです。


『モスカート・ビアンコ』は、他が基本辛口であるのと違い、甘口に造られることが多い白ブドウ品種です。食用として馴染みがある、マスカットの一種です。

甘く、華やかな香りが特徴の白ブドウ品種で、ピエモンテ州の「アスティ・スプマンテ」などに代表される、甘口のスパークリングが多く造られ、世界中で根強い人気です。基本、カジュアルな価格帯のワインが造られることが多いです。

シチーリア州で最も栽培されている白ブドウ品種、『カタラット』。

カタラット・コムーネ、カタラット・ルチドなどの亜種があります。シチーリア州以外ではほとんど見かけません。

アルコール度数が高く、フレッシュなワインが多く造られます。

以上、黒ブドウ5品種、白ブドウ5品種を紹介してみましたが、イタリアで栽培されている品種は多種にわたるため、紹介しきれていません。

補足として、白ブドウとしては、イタリアを代表する白ワイン、『ソアーヴェ』に使われるブドウ品種、『ガルガーネガ』もイタリアを代表する地ブドウですし、実は国際品種、『シャルドネ』も、2015年データですが、白ブドウの生産量トップ5に入っており、イタリアの代表的な品種です。

沢山紹介しましたが、黒ブドウ品種の、『サンジョヴェーゼ』と『ネッビオーロ』だけでも、ちょっと頭の片隅に残してみてくださいね。

公開日 :
2022/07/30
更新日 :
2024/03/08

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