2023-01-28

テイスティングにまつわる用語 〜香り編〜

ワインの『テイスティング』というのは、「このワインはこういう特徴だな」と分析しながら味わう事だと思っています。

ですので、自分の感じたままに行えば良いのですが、他の方とシェアをしたり、学んでいったりするとなると、ある程度決まった用語を知っておく必要があります。

今回は、その中で『香り』の部分に焦点を当ててみましょう。

テイスティングをする過程を4つのステップに分けると下記のようになります。
 
 ① 外観(見た感じ)
  「どんな色かな?」
 
 ② 香り
  「香りは強いかな?」「香りは例えると何だろう?」

 ③ 味わい
  「味わいは濃いかな?」「渋いかな?酸っぱいかな?」

 ④ 適切なサービス
  「冷やした方が良いかな?」「グラスはどんなのが良いかな?」

 今回は②の『香り』の確認のステップを見ていきます。

決まったフォームという程では無いのですが、香りのチェックをする際は、グラスを持ち上げ、手前に斜めに傾けて鼻を近づけチェックする事が多いですね。

思っている以上に鼻をグラスに寄せる事をお勧めします。

以前、ワイングラスのメーカーの方が講習会でおっしゃっていたのですが、鼻の先がグラスに入る位近づけるのが良いそうです。


部屋は、出来るだけ香りを少なくしておく方が理想です。香りの強い消臭剤、アロマやお香をたく事は控える、といった事です。

香りを確認していくプロセスを細かく分けると、4段階に分かれます。

 ★ 第一印象
 ★ 第1アロマ
 ★ 第2アロマ
 ★ ブーケ(=第3アロマ)

それぞれ解説していきたいと思います。

アロマ、ブーケなどの言葉が出てきましたが、ワインの香りの事は『ノーズ』と言われる事もあります。

まずは、静かにグラスを鼻に近づけ、『第一印象』を感じます。

人やモノとの出会いもそうですが、香りも第一印象は大事です。最初の香りの印象を感じ取ります。

相手の人をどんな人か捉える時に、『目が大きい』とか『思考が論理的である』とか細かい所を分析する前に、『若々しい』、『おとなしい感じ』といった第一印象を感じるのに似ていますね。

具体的に挙げると、『いきいきとした』、『優しい』、『爽やかな』などの、感じたままの印象をとらえる事なのですが、慣れるまで最初は難しいかもしれません。

第一印象を感じたら、その後、続いてワインそのままの香りを確認します。まだグラスはグルグルさせません。

ワインから感じられるそのままの香りを『アロマ』と呼びますが、そのアロマを確認します。そして、そのアロマの中でも原料のブドウ由来の香りを『第1アロマ』と区分して呼んでおり、まずは、原料由来の香りを分析します。

分析をする時は『果実の香り』、『植物、花の香り』、『スパイスの香り』などに分けて探っていきます。

もちろん、全てのワインの香りの例えに、『果実』、『植物、花』、『スパイス』全てが見つかる訳では無いので、当てはまるものを選んで例えて表現していきます。

果実であれば、イチゴ、ブルーベリー、リンゴ、洋梨、レモンなど。

植物、花であれば、ミント、シダ、バラ、スミレ、シャクヤクなど。

スパイスであれば、胡椒、シナモン、タイム、ローズマリーなど。


他にも、『ナッツ』、『化学物質』、『動物』などで表現されたりしますが、最初は、果実や植物辺りが例えやすいと思います。

簡単なスタートとして、最も見つかりやすい香りである、白ワインならリンゴ、赤ワインならベリー系が無いか探ってみると良いと思います。

ブドウに由来する香りが第1アロマと呼ばれるのに対して、醗酵に由来する香りを『第2アロマ』と呼んでいいます。

醗酵の方法により、『バナナ』、『キャンディ』、『杏仁豆腐』などを想わせる香りが生まれてきます。

低温醗酵を行った場合は、キャンディなどの香りが感じられたり、マセラシオン・カルボニックを行った場合は、バナナの香りが感じられたりするので、そういった分析します。

マセラシオン・カルボニックという技法はボージョレ・ヌーヴォに使用されているので、ボージョレ・ヌーヴォにはこの第2アロマのカテゴリーであるバナナの香りが感じられたりするのです。

第1アロマに比べて難しいかもしれません。余り見つからない事もあります。まずは第1アロマを感じ取る事から始めるのがおすすめです。

マセラシオン・カルボニック

Maceration Carbonique

栽培・醸造用語

主に、ボージョレ・ヌーヴォの醸造で用いられる技法。 ブドウを破砕せず、充満する二酸化炭素と一緒にタンクの中に置いて発酵させることで、フレッシュな香りと、渋みが少ないのに濃い色合いを兼ね備えたワインが造られる。 通常のワインより短期間で造ることができるので、解禁日の定められた新酒(イタリアのノヴェッロなど)の醸造で使われることが多い。 【工程】 CO2を満たしたタンクに全房のままブドウをいれて密閉する →  酸素が遮断されると、果皮の細胞内で酵素による醗酵が始まる。アルコール1.5~2.5%、グリセリン、コハク酸とフルーティな香りが造られ、リンゴ酸は減少。ブドウは果皮が柔らかくなり自重で潰れていく。  →  出てきた果汁はブドウに付着している、もしくは添加された酵母によって醗酵が始まる。全体が液中に沈むまで醗酵させることが多い。 ここまでで色素は最大限に引き出される  →  生成されたアルコールに梗や種からのタンニンが移るのが少ない段階で圧搾をかける。それにより色素は抽出されているが、タンニンが抑えられた液体が得られる  →  圧搾後、密閉タンク内で液体だけの醗酵を続ける。  →  色濃くタンニンの少ないフルーティなワインが完成。

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ここまではグラスは静かに持ったまま行うのですが、「あれ?なんかテレビで見ると、ワインの香りを嗅ぐ時はグラスをグルグルさせてない?」と思われた方もおられるかもしれません。

あのグルグルさせる動きは『スワリング』というのですが、この後の『ブーケ(=第3アロマ)』と呼ばれる香りを確認する時に初めて行います。それまではグルグルさせません。

『スワリング』は、グラスを水平に円を描くように動かし、グラスの中でワインを流動させます。グラスを持ち上げて空中で行う事が多いのですが、最初はテーブル上でグラスをテーブル面に付けたままスライドさせて行う方がやりやすいです。

均等に『ぐーる、ぐーる』と回すというより、初動時に素早く、くぃっと力を入れると良いと思います。イメージで言うと、フラフープを回したり、楽器の鈴を鳴らしたりする時のようにスタッカートを効かせる感じでしょうか。(←伝わる?)

こうやってグラスに注いだワインを空気に触れさせる事でワインの香りを立たせたり、次に確認するブーケを引き出したりする事ができます。

スワリングをするとタンニンの渋みを和らげたり、グラスの壁面に粘性のあるワインを付着させる事で、よりグラス内に香りが充満させたりする、という効果もあります。

ワインをスワリングして現れる香りは『ブーケ』と呼ばれます。熟成に由来する香りであり、『第3アロマ』とも呼ばれます。

ワインが木樽や瓶で熟成されると、木樽で熟成される事によって加わる香りや、第1アロマが熟成する事で変化した複雑な香を含むようになります。

具体的には『ヴァニラ』、『ロースト』、『スパイス』などの香りが感じられます。木の香りやローストなど、樽影響の香りが強い場合は、「『樽香』が強い」と表現されたりします。

樽熟成が無かったり、瓶内での熟成が短かったりすると、このブーケは余り感じられないものもあります。


以上、テイスティングの香りのチェックについてまとめてみました。

最初は全部やろうとすると大変なので、最初のうちは
『まずはグラスを静かに持ち上げ果実、植物、スパイスに例えるとどんな香りか感じる』
 +
『スワリングしてみて、熟成の香りがあるかどうか?』
の2点に注目してみると良いと思います。

また、何かに例える際は、
『白ワインはリンゴっぽい香り?赤ワインはベリーっぽい香り?ちょっと違うなら何だろう?』
という感じで始めると見つけやすいかもしれません。

ちなみに、スワリングに慣れてくると、無意識にグラスに入っていたら水でもお茶でもグルグルしてしまう事があるのでご注意を。





公開日 :
2023/01/28
更新日 :
2023/01/28

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