2023-01-13

シェリーのタイプ

スペインで造られる酒精強化ワイン、シェリー。スタンダードなワインとは少し違う味わいが魅力的です。

シェリーと一口で言っても、様々な味わいのタイプがあります。今回はそのタイプを紹介したいと思います。

シェリーとは、スペイン最南端の州アンダルシアで造られる酒精強化ワインです。アンダルシア州の中でも、中心となるのがヘレス・デ・ラ・フロンテラという町。


味わいには辛口から極甘口まであり、アルコール度数は15~22度くらい、と少し普通のワインより高めですが(※普通のワインは12〜15%位)、基本ストレートで飲まれます。

辛口のものは食前酒に飲まれたり、食中に飲まれたり、極甘口のものは食後酒として飲まれたりします。

使用されるブドウ品種はほとんどが、パロミノというニュートラルな品種で、加えて、ペドロ・ヒメネス、モスカテルが使われます。


造り方は、基本、白ワインを造ってから、白ワインとブランデーを足して酒精強化をし、アメリカンオークの樽を使い『ソレラ・システム』という手法によって熟成されます。

この『ソレラ・システム』というのは、下から上へ古い樽から新しい樽順に積み上げられ、出荷の度に新しい樽から古い樽へと注ぎ足して、伝統の味わいを継承し、味わいを均一に保つシステムの事です。

強い日差しを遮断するため50センチ以上の分厚い外壁に守られたボデガには、樽が3~4段の列を成して積み上げられてあります。

その積まれている樽の中の最下段の樽は『ソレラ』と呼ばれ、最も年数の古いワインが入っています。直ぐ上の段の樽は『第1クリアデラ』、下から3段目の樽は『第2クリアデラ』と呼ばれ、段が上がるごとに少しずつ若いワインが入った樽が組み上がっています。


そして、出荷される際、一番下のソレラから適量を抜き取り、同量を上段の樽から抜いて古い樽に補充し、それを一番上の段まで繰り返します。

このように常に継ぎ足しを繰り返しながら、古いワインの個性を若いワインが受け継ぎ、味を均一に保とうとするシステムなのです。


シェリーは樽に詰められる際、わざと入れる量を7分目までにし、少し樽に空気のスペースを残します。そうすることによって、『フロール』と呼ばれる産膜酵母が液面に生育します。

産膜酵母を生育することで、ワインはその酵母が生成する白い膜(=フロール)で覆われ、酸化から守られる代わりに、特有の風味を与えます。

シェリーにはこのフロールのニュアンスが弱いもの、代わりに酸化熟成のニュアンスの強いものなどがあります。そういったスタイルの違い、甘口・辛口などで、分類されている種類を紹介したいと思います。

色は淡い麦藁色。

フロールの膜の下で熟成するためフロールの香りがついた、スッキリ軽い辛口タイプです。

生ハムや軽めのオードブルとの相性が良く、食前酒として冷やしてストレートで楽しむのに最適です。軽やかに、カジュアルに楽しめます。

アルコール度数は15~17度。

色は淡い麦藁色。

フロールの膜の下で熟成するためフロールの香りがつくタイプです。 スッキリ軽い辛口タイプでフィノに似ていますが、海辺の町「サンルーカル・デ・バラメダ」でのみ造られます。

フィノと同じく軽やかなタイプで、食前酒として冷やしてストレートで楽しむのにも適しています。

アルコール度数は15~17度。



アモンティリャード Amontillado

色は琥珀色。

フロールのもと熟成させた後、酸化熟成させたタイプです。繊細なシャープさがあり、香りはヘーゼルナッツなどを想わせ、ソフトで軽やかな風味の辛口シェリーです。

香りに合わせて燻製や肉料理との相性が楽しめます。

アルコール度数は16~22度。

アモンティリャード

Amontillado

ワインの種類

シェリーのタイプのひとつで、フロールのもと熟成した後、酸化熟成させたタイプ。色は琥珀色、繊細なシャープさがある。香りはヘーゼルナッツなどを想わせ、ソフトで軽やかな風味の辛口シェリー。 香りに合わせて燻製や肉料理との相性が楽しめる。アルコール度数は16~22度。

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色は琥珀色からマホガニー色。

フロールの影響を受けておらず、酸化熟成によって豊かな香りと深いコクを持たせた辛口タイプです。スペイン語で『におい』を意味する”オロール”に由来しています。

やや甘みを感じるのですが辛口であり、香り豊かなフルボディスタイルなので合わせる料理の幅が広く、肉料理や煮込み料理、熟成が進んだチーズと相性が良好です。

アルコール度数は17~22度。


色は琥珀からマホガニー色。

短期間フロールのもので熟成された後、酸化熟成されたタイプで、アモンティリャードのソフトさ、デリケートでシャープな香りと、オロロソの持つ豊かなボディを合わせたようなタイプです。

アルコール度数は17~22度。

色は黒に近い濃い色合い。

収穫したペドロ・ヒメネスを天日にさらして干しブドウ状にしたものから造られる極甘口です。ソフトでビロードのような口当たりで、豊かで力強く、完璧にバランスのとれたスタイルです。

食後酒として楽しまれることが多いです。

アルコール度は15~22度。


色は濃いマホガニー色。

オロロソをベースにし、ペドロ・ヒメネスか濃縮還元果汁をブレンドして造られており、ビロードのような口当たりで、甘くフルボディです。木樽やレーズンを思わせる深みのある香りです。

アルコール度数は15.5~22度。

シェリーと言っても辛口から甘口まであり、フレッシュなものから熟成感が楽しめるものまであります。好みのものを見つけられると良いですね。

まず始めとしては、すっきりしたタイプがお好みな方ならフィノ、複雑味のあるものがお好みの方ならアモンティリャード、甘口がお好みな方ならペドロ・ヒメネス辺りが良いかな、と思います。

レストランやバーであれば、ソムリエの方に話を聞きながら選ぶのが良いですね。








公開日 :
2023/01/13
更新日 :
2024/02/28

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